東芝と東芝テックは11月5日、訪日外国人向けのビジネス拡充に取り組む企業や団体に対し、ICTを活用した集客・接客をサポートする「トータルインバウンドサービス」の提供を開始した。
同サービスは、東芝のメディアインテリジェンスや位置情報、クラウド基盤技術などのICT技術と、東芝テックのPOSシステムや免税処理サービス、各種決済サービスを組み合わせたもの。「商業施設向け同時通訳サービス Powered by RECAIUS」と「訪日前プロモーションサービス」「位置情報サービス」「電子決済サービス」で構成する。
2016年1月からの提供開始を予定する「商業施設向け同時通訳サービス Powered by RECAIUS」は、日英・英日、日中・中日に対応する商業施設向け会話の同時通訳サービスで、来店者と店員の会話がリアルタイムにスマートフォンなどの画面上に表示され、コミュニケーションをサポートするほか、各店舗で異なる商品名などの訳語を辞書登録しておくことで、精度の高い通訳を実現する。
「訪日前プロモーションサービス」は、電通と連携し、東芝が運営する現地SNSや広告を活用して地域・イベント・店舗・商品などの情報提供を行うもの。訪日前から地域・施設・店舗の認知や関心を高め、購買を喚起する紹介プロモーションなどに活用することができる。また、「位置情報サービス」は、BLEビーコンを施設・店舗などの各チェックポイントに配置することで、BLEビーコンと訪日外国人の持つスマートフォンのアプリケーションが連携し、チェックポイントを通過した訪日外国人のスマートフォンに観光情報やイベント情報、店舗情報などの情報を提供できるというもの。これら2つのサービスは、2016年3月からの提供開始を予定する。
「免税処理サービス」は、訪日外国人が利用する商業施設や店舗の免税オペレーションを効率化し、免税販売・購入明細・内容物明細レシートを発行するPOSシステムにより訪日外国人を待たせない免税処理システムを提供。2015年4月に施行された「手続委託型消費税免税店制度」に対応する端末と一括免税管理システムにより、ショッピングセンターや商店街などの各テナント・免税事業者の免税額・必要書類を一括管理することで、訪日外国人の商業施設内でのスムーズな買い回りを支援するほか、店舗側の業務負担を軽減することで、免税関連業務の効率化と訪日外国人へのサービス向上を図る。なお、「免税対応POSシステム」は既に販売されており、「一括免税管理システム」は2016年2月のリリースを予定。
「電子決済サービス」では、訪日外国人にスマートフォンを活用した時間と手間のかからないストレスフリーな決済サービスを提供。初期サービスとして、2015年10月からネットスターズが訪日中国人向けに提供を開始したWeChat Paymentサービスの提供を予定する。(販売時期は未定)
なお、具体的な取り組みとして、福岡県天神地下街で11月中旬から開催されるイルミネーションやクリスマスイベントにおいて、「訪日前プロモーションサービス」と「商業施設向け同時通訳サービス」「位置情報サービス」を提供し、集客力・回遊性・接客のサービス向上のための実証実験を実施する。また2016年1月からは、「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」にて、「商業施設向け同時通訳サービス」が導入される。