東京商工リサーチはこのほど、2015年1~9月における「老人福祉・介護事業」の倒産件数が過去最多の57件に達したと発表した。前年同期(40件)と比べて42.5%増加した。
小規模事業所の倒産が増加
負債総額は同11.6%増の50億9,600万円。負債額別にみると、負債10億円以上の大型倒産がゼロ(前年同期ゼロ)だったのに対し、負債5,000万円未満は同58.3%増の38件と、小規模企業の倒産が目立った。
倒産の内訳をみた場合、施設系のデイサービスセンターを含む「通所・短期入所介護事業」が同109.0%増の23件と倍増。また「訪問介護事業」も同27.7%増の23件に増えた。
従業員数別にみても、5人未満が同100%増の38件と倍増し、小規模事業所が全体66.6%に上った。また2010年以降に設立した新規事業所は29件と全体の50.8%を占めた。
原因別では、販売不振(業績不振)が同19.0%増の25件で最も多く、以下、事業上の失敗が15件、既往のシワ寄せが6件と続いた。
東京商工リサーチによると、「人手不足に伴う人件費の上昇が経営を圧迫している。特にデイサービスセンターの倒産が多く、中でも小規模事業所の倒産が目立つ。今後は、介護報酬マイナス改定の影響が出てくるため、年末から来春にかけて倒産事業者がさらに増加するのではないか」と分析している。