米国航空宇宙局(NASA)は9月28日(米国時間)、火星に現在も液体としての水が存在し、流れている証拠を発見したと発表した。

同成果は、NASAやジョージア工科大学などで構成される研究グループによるもの。詳細は科学誌「Nature Geoscience」に掲載された。

これまでの研究から、火星の地表の下には氷が存在していることはわかっていたが、今回の研究では、Mars Reconnaissance Orbiter(MRO)に搭載されたカメラ「High Resolution Imaging Science Experiment(HiRISE)」や分光計「Compact Reconnaissance Imaging Spectrometer for Mars(CRISM)」などを用いて観測を実施。火星の地表の傾斜部に周期的に表れる黒い筋状の地形「recurring slope lineae(RSL)」が、暖かい季節(-23℃)になると発生し、寒い季節に入ると消滅すること、ならびにそのRSL部より、マグネシウム過塩素酸塩、マグネシウム塩素酸塩、およびナトリウム過塩素酸塩といった混合物(水和塩)が確認されたという。いくつかの過塩素酸塩は、-70℃でも液体のままであることが知られており、こうしたことから研究グループでは、暖かい季節にそれらが塩水となって地表に現れ、RSLを形成したと考えられるに至ったとしている。

斜面の黒い筋部分がRSLで、100m程度の長さがあるという (C) NASA/JPL/University of Arizona

火星のGarni craterでの観測の様子。黒い筋部分は数百メートルの長さがあるという (C) NASA/JPL/University of Arizona

Animation of Site of Seasonal Flows in Hale Crater, Mars