インフォマティカ・ジャパン 代表取締役社長 吉田浩生氏

インフォマティカ・ジャパンは9月9日、クラウドベースのデータ統合ソリューション「Informatica Cloud」の国内提供を開始すると発表した。

初めに、代表取締役社長の吉田浩生氏が、2006年に米国で提供が始まっている「Informatica Cloud」を国内市場に投入する背景について説明した。

吉田氏は、今年発表された英国の未公開株投資会社であるPermira Fundsとカナダの公的年金を運用する機関であるカナダ年金制度投資委員会による買収について、同社がオンプレミスの製品とクラウドサービスを提供する「ハイブリッドベンダー」になるための布石と述べた。なお、同社では「買収ではなくプライベタイゼーションとしてとらえている」という。

米Informaticaは2006年からInformatica Cloudを展開しているが、同サービスを売れば売るほど、株価が下がるという現象が起きたという。こうしたなか、同社は17%というR&Dの比率を維持しつつ、オンプレミスのベンダーからハイブリッドのベンダーにシフトするため、プライベタイゼーションの道を選んだ。

インフォマティカ・ジャパン セールスコンサルティング部 ソリューションアーキテクト エバンジェリスト 久國淳氏

吉田氏は、「2014年の売上高の比率は、オンプレミスが90%、クラウドサービスが10%となっているが、2020年には半々にしたい」と語った。

「Informatica Cloud」については、セールスコンサルティング部 ソリューションアーキテクト エバンジェリストの久國淳氏から説明がなされた。

久國氏は、「クラウドサービスの利用が広がるにつれて、データのサイロ化、分断化が進んでいる。こうしたなか、データを有効活用するには、データを有機的につなげることが求められている」と、データを統合することの重要性を強調した。

同社は、同社のオンプレミスの製品で提供しているデータの統合や管理に関する機能をすべてクラウドサービスとしても展開していくという。

Informatica Cloudが提供する機能のイメージ

現在、Informatica Cloudのラインアップは「Cloud Data Integration」「Cloud Real-time Integration」「Cloud Test Data Management」「Cloud Data Quality」「Cloud Master Data Management」となっているが、今回、国内で提供が開始されるのは「Cloud Data Integration」となる。Cloud Data Integrationの提供価格は月額14万5000円からとなっている。

そのほかのサービスは順次、ローカライゼーションを行ったうえで、来年以降に提供が開始される予定だ。

Informatica Cloudのラインアップ

久國氏は、蓄積された大量データの活用を実現するCloud Data Integrationの特徴として「接続コネクタが豊富である点」「業務ユーザーがセルフサービスで使える操作性」「クラウドとオンプレミスをつなぐハイブリッド・アーキテクチャ」を挙げた。

Salesforce、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureをはじめ、120以上の接続コネクタが利用可能だという。操作画面は、PowerCenterの画面を踏襲しており、ノンコーディングで操作できる。そのため、業務ユーザーが容易に操作することが可能になっている。

ハイブリッド・アーキテクチャとは、Informatica Cloudではリポジトリ・データベースで定義情報のみを保有し、企業のオンプレミスのシステムのファイアウォールの内側にデータを格納する処理実行エンジン「Secure Agentサーバー」を配置するアーキテクチャを指す。この仕組みにより、Informatica CloudとSecure Agentサーバーはメタデータのみをやり取りする。

Cloud Data Integrationが提供する接続コネクタの例

また、Cloud Data Integrationの国内提供に際し、外部データをSalesforceに取り込むネイティブ・データローダー「Informatica Cloud Data Wizard for Salesforce」を日本語化した。同サービスは、Salesforce.comの画面から外部データを取り込むことを可能にする。