ルネサス エレクトロニクスは9月9日、同社の車載情報システム向けSoCプラットフォーム「R-Carシリーズ」として、車載カメラネットワーク用SoC「R-Car T2」を発表した。

同製品は、プロセッサとしてARM Cortex-M3(動作周波数は80MHz)を搭載しているほか、Ethernet AVB規格を構成する「IEEE802.1AS」「IEEE802.1Qav」「IEEE802.1Qat」「IEEE1722」の4つの規格すべてに準拠しており、複数のシステムに映像を同時配信することが可能。また、HD(1280×960)映像を高画質のまま低遅延で圧縮する独自開発のH.264エンコーダを搭載しており、1ms以下の速度でネットワークを通じて各システムに配信することが可能となっている。

この伝送速度は、時速100km/hで走行する自動車の場合、移動距離として2.8cmに相当するとのことで、ほぼリアルタイムでの伝送が可能とのこと。このため、安全支援システムでの活用が可能であり、現行のLVDS方式をEthernet方式(PoEにも対応可能)に置き換えることもできるようになるほか、マルチディスプレイも手軽に実現できるようになるとする。

さらに消費電力も40mW(typ.)と低く、パッケージも6mm角のFPBGAと小型のものを採用しているため、車載カメラモジュールが搭載される密閉された防水・防塵空間においても、発生する熱を抑えることが可能だとしている。

なお、同製品は即日サンプル出荷を開始しており、サンプル価格は2000円。量産は2016年12月より開始し、2017年9月には合計で月産50万個の出荷を計画しているとしている。

R-Car T2の実チップとイメージ画像

R-Car T1のデモの様子。カメラモジュール1つにつき、R-Car T1が1つ搭載されており、それぞれの映像を後ろに見えるタブレットにリアルタイム伝送している

左がパナソニックが協力して開発されたR-Car T1搭載カメラモジュールとツイストペアケーブル。右が住友電気工業が提供する車載用UTP Ethernetケーブル