パナソニックは8月28日、衛星電波受信モジュール、ワイヤレスWAN、1周波RTK-GNSS機能を拡張したパナソニック独自の衛星測位技術(特許出願中)を開発したと発表した。環境により、10cm程度の測位が可能だという。
RTKは、Real Time Kinematic(相対測位)の略で、測位を行う移動局が受信した衛星電波の搬送波と、既知点から携帯電話や無線を利用して送信されるGPS補正データ(搬送波)を用いて、コード情報ではなく、搬送波の数や位相を用いることで、既知点からの相対位置をリアルタイムに、正確に演算して測位する方式だという。1周波RTKとは、航法衛星から送信される複数の周波数の電波のうち、一般に測位に用いられる2つの周波数電波の1つのみを用いる方式。
これまで、1周波RTK-GNSS機能は、膨大な演算を伴うことから、組込系OSが搭載された端末上ではCPU処理性能の制約から1つの測位エンジンしか動作できないため、測位演算終了までに平均10分程度を要していたが、パナソニックは、高性能CPUと豊富なメモリーを搭載した頑丈タブレットPC「TOUGHPAD(タフパッド)」上で動作する「複数の測位エンジンにより時間をずらして順次測位エンジンを追加しながら測位し、最も確からしい測位結果を迅速に導き出すアルゴリズム」を独自開発し、測位演算終了までの時間を平均90秒程度にすることで、実用的なものにした。
同社はこの機能を、頑丈タブレットPC「TOUGHPAD(タフパッド)」に搭載し、「高精度測位システム」とした。そして同社では、今年の12月より北海道岩見沢市で、本システムを用いた除排雪作業支援システム実証実験を開始する。
測定精度は、市街地の幹線道路環境で約50cm、オープンスカイな水田や農地環境では約10cmだという。
これまでの除排雪作業は道路知識を持つ熟練者が作業していたが、除排雪作業支援システムは道路構造部を可視化できるため、道路知識が無い作業者でも除排雪作業が行えるとしている。岩見沢市による実証実験は、積雪が予想される3月まで行う予定だ。
同社は同システムを、豪雪地域の各自治体やスマート農業を行う農機メーカーをはじめ、各種ソリューション・ベンダーへ提案していく。