科学技術振興機構(JST)は8月25日、都内で会見を開き、同日時点の2015年度の国際科学オリンピック(五輪)についての成果報告、ならびに今後の科学オリンピックの動向についての説明を行った。

すでに開催済みの6大会で参加者全員がメダルを獲得

国際科学オリンピックは、中等教育にある生徒を対象した国際コンテストで、日本は、「数学」「化学」「生物学」「物理」「情報」「地学」「地理」の7つの大会に国内選抜を勝ち抜いた代表生徒を参加させてきた。教科ごとに筆記・実験・フィールドワークなどの試験を行い、成績順に、金・銀・銅のメダルが授与される(金が上位10%、銀が金に次ぐ20%、銅が銀に次ぐ30%)。同日時点までに、地学を除く6つの科学オリンピックが開催され、いずれの大会も参加者全員が何らかのメダルを獲得している(数学:銀3名、銅3名、化学:金2名、銀2名、生物:金1名、銀2名、銅1名、物理:金1名、銀2名、銅2名、情報:金3名、銅1名、地理:銀3名、銅1名)。

国際科学オリンピック2015年大会の日本チームの成績。地学は9月開催予定のため、まだ結果は出ていない

これまでの日本代表生徒の成績。ピンクで塗られている部分は日本開催の大会

ちなみに、今年度の国際科学オリンピックへの参加申し込み総数(7大会合計)は1万8089名。参加申込者数は年々増加傾向にあり、それに併せる形で、代表生徒のみならず、1次選考や2次選考で優秀な成績を獲得した生徒などを、AO入試の対象とする大学なども増加傾向にある(2007年度は5大学であったものが、2014年度には27大学に増加。優遇措置を設けている主だった大学には、大阪大学や岡山大学、京都大学、東京工業大学、東北大学、北海道大学などがある)。

国際科学オリンピックの代表になるためには、一次選考、二次選考、代表選抜とステップを踏んでいく必要があるが、一次選考への申し込み人数は7大会合計ではあるものの年々増加傾向にある

2022年までに5度の国際科学オリンピックが日本で開催

各大会の会場は参加国が持ち回りで担当しており、日本もこれまで、2003年に数学が開催されたのを皮切りに、2009年の生物学、2010年の化学、2013年の地理と、数年置きに開催されてきた(2012年に地学がつくば市で開催予定であったが、震災の影響を踏まえ、返上した経緯もある)。2020年に東京五輪が開催されるが、実は、その前後含めた今後6年の間に国際科学オリンピックも5度、日本で開催される予定だ。

まず目前に迫っているのが、2016年に三重県で開催される予定の第10回 国際地学オリンピック。開催期間は8月20日~28日を予定しており、主催する国際地学オリンピック2016組織委員会では、日本の防災技術などを含めて、防災や環境問題などを知ってもらえる大会にしたいと意気込みを語っている。また、地元の高校生との交流を深めてもらいたい、という目的も柱としており、日本文化としての伊賀上野の忍者屋敷や伊勢神宮、真珠の養殖場の見学などを予定しているが、伊勢神宮の見学では、三重県立 宇治山田商業高校の生徒が通訳を担当することになっているという。

第10回 国際地学オリンピックのパンフレット (出典:第10回 国際地学オリンピックWebサイト)

ちなみに、2016年は5月26日および27日にかけて三重県にてサミット(伊勢志摩サミット)が開催され、その場で高校生による宣言が予定されているとのことで、国際地学オリンピックでも、その宣言に負けない「三重宣言」を実現したいとしている。

なお、その後の予定だが、2018年には茨城県つくば市にて国際情報オリンピックが開催されるほか、東京五輪の開催年となる2020年には国際生物学オリンピック、翌2021年に近畿地方で国際化学オリンピックが、そして2022年にも国際物理オリンピックが開催される予定となっており、文部科学省やJSTなどでも、こうした大会に向けた支援のほか、生徒の教育に協力していきたいとしており、積極的な理数教育の促進を図りたいとしている。

日本における国際科学オリンピックの開催動向。2016年から2022年まで、毎年のように開催が予定されている