熊本大学は8月20日、東邦金属と共同で線径0.05mm(50μm)の耐熱マグネシウム合金極細ワイヤの製造技術を開発したと発表した。

同マグネシウム合金は、2001年に同大で開発され、「KUMADAI耐熱マグネシウム合金」と呼ばれており、一般的な金属材料製造法でも室温で510MPaの耐力が、250℃の高温でも250MPaを超える高い耐力を得つつ、難燃化も実現している。

今回の線径0.05mmは、東邦金属が難加工材であるタングステンワイヤの製造で培ってきた独自の伸線加工技術を基にして、適切な伸線条件および伸線ダイスの材質と形状の最適化により実現したもの。このワイヤの活用先としては、精密溶接や3Dプリンタ用の原料、生体吸収性ステントなどの循環器用医療機器、生体吸収性の縫合糸や血管結合具などの外科・インプラント用医療機器、燃料電池の電極材料などが期待されているという。

なお、研究グル―プでは、今後、共同研究を加速させ、さらなる極細化の技術開発を進めていくとしているほか、2012年に開発された「KUMADAI不燃マグネシウム合金」など、ほかの合金への展開、生体吸収性医療機器などの応用製品の開発などを進めていく予定としている。

線径0.05mmのKUMADAI耐熱マグネシウム合金極細ワイヤ。右は電子顕微鏡写真