JR北海道は17日、北海道新幹線開業に向けた「地上設備最終切替」の「事前確認」にともない、2015年12月31日深夜から2016年1月2日早朝にかけて青函トンネルを走るすべての旅客列車を運休すると発表した。

急行「はまなす」は青森~札幌間を結ぶ夜行列車

北海道新幹線の運行管理システムは「CYGNUS」

北海道新幹線新青森~新函館北斗間は2015年度末に開業予定。現在はH5系などによる走行試験が実施されている。新幹線・在来線の共用走行区間(新中小国信号場から木古内駅まで)では、夜間を中心に走行試験が行われており、運行管理システムを「CYGNUS(北海道新幹線総合システム)」に切り替えることで新幹線の走行が可能に。日中時間帯は従来の「在来線用運行管理システム」を使用し、在来線の列車を運行している。

新幹線開業に合わせ、在来線の運行管理システムも「開業後の在来線用運行管理システム」へ切り替えられ、「CYGNUS」と接続し固定される。これにより、貨物列車(共用走行区間は電気機関車EH800形が牽引)の直通運転も可能となる。しかし現在行われている走行試験では、貨物列車は共用走行区間へ直通できず、新幹線開業後と同様の形態での試験走行は行われていないという。

北海道新幹線に対応した運行管理システムに切り替え、地上設備(架線電圧や信号保安設備など)も切り替えて固定する「地上設備最終切替」は開業数日前に実施予定。これに向けた「事前確認」を、貨物列車の運行予定がなく、利用者も少ないと見込まれる2016年1月1日に行う。実際に切替えを行い、地上設備や運行管理システムを開業後と同じ状態にした上で、「貨物列車を運行させ、共用走行区間と在来線区間を直通できること」「新幹線、貨物列車を走行させた状態で、開業後のシステムが24時間安定して稼動すること」を確認する。

新青森~函館間を結ぶ特急「スーパー白鳥」「白鳥」

この影響で、12月31日深夜から1月2日早朝まで、海峡線経由の特急「スーパー白鳥」「白鳥」・急行「はまなす」がすべて運休に。他に津軽線・江差線の一部区間、一部列車も運休となり、詳細は秋頃に発表される。「ご不便をおかけしますが、新幹線開業のために必要な機能確認であり、ご理解くださいますようお願いします。当日はフェリー・航空機など他の交通機関をご利用ください」とJR北海道。開業直前に「地上設備最終切替」を行う際も、数日間にわたり海峡線経由のすべての旅客列車が運休となる予定だ。

北海道新幹線開業に向け「開業準備駅」などの組織も設置

JR北海道は北海道新幹線新青森~新函館北斗間開業に向け、新たな組織の設置と一部組織の名称変更を行うことも発表している。実施日は2015年7月31日。

新たに設置されるのは、訓練運転時の運転取扱いや今後の開業諸準備に対応する「奥津軽いまべつ開業準備駅」(4名配置)・「木古内開業準備駅」(5名配置)・「新函館北斗開業準備駅」(7名配置)と、新幹線の運行管理業務を行う「新幹線運行管理センター」(運輸部の付属機関)。新幹線の運転・車両検修業務を行う「新幹線準備運輸車両所」は「函館新幹線総合車両所」に名称変更し、訓練運転や開業諸準備を本格的に行うとしている。