ジャガー・ランドローバーは6月17日(英国時間)、ドライバーのストレスや集中力の低下などによって引き起こされる事故発生件数を低減させるための新しい安全技術を開発していることを明らかにした。

「Mind Sense(マインド・センス)」と名付けられたこの研究プロジェクトは、スポーツ、医療、および航空宇宙分野の技術を活用し、ドライバーの脈拍、呼吸、および脳の活動状態をモニタリングして、ストレスのかかり具合をはじめ、疲労や集中力低下の度合いを測定することを目的としているという。

具体的には、人間の脳に流れている複数種類/周波数の脳波をモニタリングし、ドライバーが集中しているのか、ぼんやりしているのか、眠気を感じているのか、運転以外のことに気を取られているのか、などを判別しようというもの。ドライバーがぼんやりしていたり集中していないことを感知した場合、ステアリングホイールまたはペダルを振動させて注意を促し、再度運転に集中させたり、そうした警告を行った後も、脳の活性化が検知できなかった場合、さまざまな方法でドライバーとのコミュニケーションを試み、危険の可能性をより確実に認識できるようするとしている。

この脳波測定の手法としては、ヘッドバンドを装着して運転することが実用的ではないことから、ステアリングホイールに埋め込まれたセンサを通じて、手から脳波を測定することが検討されているという。すでに同社では、ユーザーによる試験運用を開始しており、ステアリングホイールから得たさまざまな脳波に関する詳細な情報収集を進めているとのころで、今後、有数の神経科学者もプロジェクトに参加し、収集結果を検証していく予定だとしている。

また同社は、脳波の測定による安全技術に加え、ドライバーとインフォテインメント・スクリーン間のやり取りのスピードと効率性を向上させる技術の開発にも取り組んでおり、これにより、ドライバーが画面を見る時間を最小限に抑え、注意力が散漫になるのを抑制できるようになるとしている。

具他紙的には、車内に組み込まれたカメラを用いてドライバーの手の動きを追跡することで、ドライバーがどのボタンを押そうとしているかを予測。これにより、ユーザーは画面自体に直接触れる必要をなくし、空中でのボタン操作を可能にするという。すでに行われている試験運用では、従来比で選択速度が22%高まることが確認されており、結果としてドライバーが道路から目を離し画面を見る時間が短縮されたとする。

ちなみに、この空中操作が成功したかどうかは、システムから指先に送られる感触を、超音波によって触れているかのように与えることで知らせるとする(触覚フィードバック技術)。

さらに、こうした触覚技術について同社は、アクセルペダルを通じたドライバーとのコミュニケーションにも活用できるとしており、例えば、ドライバーが制限速度を超えてアクセルを踏もうとしたときにアクセルの抵抗を重くしたり、渋滞走行時に適宜アクセルの振動で警告し、追突を防止することができるようになるとしている。