日経BPコンサルティングは5月29日、「データ連携に関するアンケート調査」の結果を発表した。

これによると、データ連携ツールの導入率は20.4%で、導入検討中を含めると36.3%となり、3社に1社が必要性を感じている結果に。特に、中小・中堅企業の導入意欲が高いことが明らかになった。

同調査は、大企業や中堅・中小企業、公共機関等にて社内向け情報システムの構築・運用に携わる1253名を対象に実施したもの。企業内の複数のシステムを連携させ、データやプロセスを統合させる製品(EAI : Enterprise Application Integration等)の利用実態や導入計画、選定ポイント、期待度、満足度などについて調査したという。

データ連携ツールの導入率は20.4%

これによると、データ連携ツールの導入率は20.4%で、導入検討中は15.9%。導入検討中のうち、「1年以内の導入を検討中」が1.8%となったほか、「3年以内の導入を検討中」が1.9%となり、導入時期を決めて検討している企業は多くないことが分かった。

EAIをはじめとしたデータ連携ツールの導入状況 (資料 : 日経BPコンサルティング)

また、導入済みと導入検討中を合わせた「導入済み / 導入検討中」は36.3%であることから、3社に1社はデータ連携ツールの必要性を感じているようだ。

なお、EAIとは、企業内の複数のシステムを連携させ、データやプロセスを統合させること、あるいはそのためのミドルウェアの総称。データベースや個別の業務アプリケーションがそれぞれ採用するデータ形式を変換し、相互に受け渡しが行えるようにする役割を持つ。

大企業の導入率が比較的高い傾向に

同調査を企業規模別で見ると、企業規模が大きいほどデータ連携ツールの導入が進んでいることが分かる。

企業規模別のデータ連携ツール導入状況 (資料 : 日経BPコンサルティング)

従業員数1000人以上の大企業では、導入済みが30.0%で、導入検討中までを含めると45.7%となり、半数近い企業がデータ連携ツールの必要性を感じている結果に。大企業ほどデータが分散していると推測されるため、データ連携へのニーズが高いと推測できる。

また、300人以上1000人未満の中堅企業の導入済みは19.7%で、2014年の結果(12.3%)より7.4ポイント増加。300人未満の中小企業の導入済みは8.0%で、300人以上1000人未満の半分未満の比率であり、導入が進んでいないことが分かる。

なお、導入検討中に着目すると、300人未満では16.1%、300人以上1000人未満は16.0%、1000人以上では15.7%が導入を検討しており、企業規模に関係なく約16%が導入を検討している。

選定ポイントは「接続先の多様さ」

導入済み・導入検討中の企業が重視する選定のポイントでは、「接続先が多様なこと(アダプタの種類の多さ)」が33.3%で、最も重視される選定のポイントだと判明。

EAIをはじめとしたデータ連携ツール選定のポイント(複数選択式) (資料 : 日経BPコンサルティング)

同社によると、この背景には、「データ連携ツールの導入率が高まるにつれて、社内に分散する多種多様な形式(業界標準あるいはメーカー固有の形式)のデータを取り扱いたい」というニーズの表れがあるほか、「さまざまなデータやシステムを臨機応変に連携させ、ダイナミックに利用する際にも接続先の多様性が鍵」になるのではという。

満足度No.1は、アプレッソの「DataSpider Servista」

主要なデータ連携ツール(製品)の導入状況と、導入前の期待度、導入後の満足度についての質問では、総合満足度において、昨年に続き2年連続でアプレッソの「DataSpider Servista」が最も高い結果に。最重視された選定ポイント「接続先が多様」の個別項目においても、同製品の満足度が最も高くなった。

なお、同社は、期待度に比べて満足度が低くそのギャップが大きいツールもあり、顧客の期待の大きさを裏切らない製品作りが求められていると分析する。