総務省は5月19日、平成26年(2014年)の情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査の結果を発表した。
調査は、2014年11月15日~21日に13歳~69歳までの男女1500人、平成26年1月の基本台帳の実勢比例による性別・年齢(10歳刻み)構成で行われた。抽出は、全国125地点のランダムロケーションクォータサンプリングで行われている。
これによると、スマートフォンの利用率は全年代合わせて62.3%となり、半数を超えた昨年から10%弱の伸びを見せた。10代の利用率こそ68.6%と全年代平均をわずかに上回る程度だが、20代は94.1%、30代は82.2%と、若年層では圧倒的多数を占める結果となった。なお、50代は半数をやや下回る48.6%、60代は18.3%だった。また、タブレット利用率は全年代で21.3%と、昨年から5%強の成長を見せているものの、スマートフォンと比較するとその伸びは鈍い。特にスマートフォン普及率が9割を超える20代の利用率が20.8%と低いことから、スマートデバイスを2台持つことに抵抗を感じている可能性もあるだろう。
続くモバイル機器によるネット利用時間の調査では、1日の利用時間の全体平均が50.5分と昨年より7分程度増加した。時間増加の牽引役は、当然ながらスマートフォンで、68.8分から73.0分と5分程度伸びた。一方でフィーチャーフォンの利用時間は25.3分(2012年)、15.9分(2013年)から更なる減少を見せており、ネットを定常的に利用しているユーザーのスマートフォンへの移行がうかがえる。
また、ネット利用で多くの時間を占めるようになったソーシャルメディアの利用率は、スマートフォンの利用率と同じ62.3%にまで上昇した。ここで触れるソーシャルメディアは「LINE」と「Facebook」「Twitter」「mixi」「Mobage」「GREE」で、いずれかを利用しているユーザーが該当する。
この利用率をけん引するのは「LINE」で、10代は77.9%、20代では90.5%、30代でも69.8%が利用している。その他ソーシャルメディアでは、10代のTwitter利用率が49.3%、20代は53.8%と高い中で、30代以降は20%前後とやや低調。一方でFacebookは、10代の利用率が25.0%だが、20代が61.1%、30代が39.9%と高い水準を記録している。Facebookは、LINEを除けば40代、50代でも堅調な利用率で、50代の利用率は19.6%となっている。
LINE以外での国産SNSは、軒並みメイン世代の20代、30代の利用率が10%~20%で推移。mixiは、20代利用率が2013年の34.1%から20.4%へと激減している点が注目すべき数字といえるだろう。なお、これらのいずれかのサービスを利用している全体の利用率の年代別では、20代が95.0%で利用していない人がほぼいない結果となった。10代も78.6%、30代も82.6%で、それぞれ昨年から5%~10%の利用率の伸びを示している。
こうしたソーシャルメディアの伸長に合わせて利用率が低下しているコミュニケーション手段が"メール"だ。10代の利用率比較では、昨年の時点でソーシャルメディアがメールを上回っていたが、今年は20代でも逆転。30代と40代では依然としてメールの利用者が多いものの、差は詰まっている。なお、平日と休日に分けた利用状況調査でもメールがソーシャルメディアを上回っていることから、メールが依然として私用で使われている状況も透けて見えている。
ネットから離れ、テレビの視聴時間はどうだろうか? リアルタイムの視聴時間は平日が昨年の168.3分から2分増加した170.6分、休日は225.4分から228.9分とほぼ横ばいだった。年代別では、10代の平日が91.8分、休日が109.3分、20代の平日が118.9分、休日が151.3分、30代の平日が151.6分、休日が87.6分などとなっている。
今回の調査では、新たに自宅での無線LAN接続を行っているかどうかの調査が行われており、全体で7割弱が自宅に無線LANがあると回答した。スマートフォン利用者で自宅に固定ネット回線があるユーザーに限定すると80.5%が無線LANを利用しており、年代間格差もあまりなかった。
その他、詳細な調査結果については、総務省Webサイトで確認できる。