富士通研究所は5月15日、人手で行っている運用作業を自動化する際の開発工数を見積もり、その費用対効果を短時間で算出可能な技術を開発したと発表した。

運用を自動化するにあたっては、個々の操作を自動化するためのツール(操作部品)を開発し、その制御のためのワークフローを作成する。

従来、運用手順書の操作に関する記述から自動化ツールの開発工数を見積もっていたが、複数の記述で1つのツールを表す場合や共通手順を含む場合に、開発するツールの数やワークフローの長さを適切に算出することが難しく、開発工数の見積もり精度が低下するという課題があった。

今回、約1300パターンの操作記述からなる種別判定ルールによってツールの数を推定し、内容に応じた開発工数の見込み値を適用することで、ツールの開発工数を高精度に見積もる技術を開発した。

これにより、操作記述の種別は全操作の約9割をカバーすることができ、ルールに照合しなかった操作記述も、前後で照合済みの操作記述と合わせることで1つのツールとしてまとめて処理できる。

ツール開発工数の見積もりの仕組み

また、サブルーチン化できる部分を自動で抽出し、ワークフローの長さを推定することで開発工数を見積もる技術もあわせて開発した。

ワークフロー作成工数の見積もりの仕組み

自動化候補の作業が1000以上あるような大規模システムの運用に対して社内評価したところ、人手ではサンプリングによる見積もりでも1カ月以上要していた自動化開発工数の概算見積もりが5日程度で行えるようになったという。

また、同技術による見積もりも値と実際にかかった開発工数を比較した結果、平均誤差率は、コマンド操作が主体となる運用作業においては7.0%、GUI操作が主体となる運用作業においては従来技術で65.7%のところ、19.3%となった。

同社は、ツール開発工数とワークフロー開発工数の合計で求められる自動化開発工数と、従来人手で実施していて自動化によって不要となる運用作業工数から投資回収期間を算出すると、投資回収期間が短いほど費用対効果が高くなるとしている。

運用自動化による費用対効果