米通信大手のVerizon Communicationsが米インターネットサービス大手AOLを1株50ドル、総額約44億ドルで買収する。5月12日(現地時間)にVerizonが買収合意契約の締結を発表した。規制当局からの承認を必要とする買収だが、今夏中に全ての手続きが完了する見通しだという。AOLはVerizonの完全子会社になり、AOLの会長兼CEOであるTim Armstrong氏が引き続きAOL事業を率いる。

AOLはパソコン通信サービスでスタートし、世界最大のインターネット接続サービスに成長。ITバブルの崩壊で業績を悪化させ、またオープンなWebへの対応も遅れて低迷したが、2009年にGoogleで米州事業を率いていたTim Armstrong氏が会長兼CEOに就任し、ブランド力に富むデジタルメディア企業として再成長し始めた。Huffington Post、TechCrunch、Engadget、MAKERS、AOL.comといったコンテンツブランドを保有しており、現在こうしたPC時代から続くデジタルコンテンツ事業と広告事業のモバイルへの移行を推進している。一方、米最大規模の携帯キャリアであるVerizon Wirelessを持つVerizonはLTEネットワークを中心に、多様なデバイスにビデオやデジタルコンテンツを提供する戦略を進めており、デジタルメディアのマルチスクリーンへの展開がVerizonとAOLを結びつけた。