ロゴデザインのかわいい日本企業は?

「kawaii」が日本のひとつのカルチャーとして世界に広がってひさしい今日この頃。業務内容や扱うサービス・商品によってはそのロゴがもう「かわいい」という印象を与える企業があります。文字がグラフィカルに処理されていたり、色やフォントにかわいらしさがあったり…とその表現方法もいろいろ。そんな日本の企業のロゴデザインは、外国の方にはどう見えているのでしょうか。

そこで、日本在住の外国人20名に「ロゴデザインのかわいい日本企業は?」と質問してみました。

■マルちゃん(ドイツ/40代前半/女性)
■ミツカン(韓国/40代後半/男性)
■日清オイリオ(トルコ/30代前半/女性)
■花王(台湾/40代前半/男性)

食・生活系の企業が数社ありました。マルちゃんを販売しているのは東洋水産ですが、海外ではMARUCHAN,INC.という企業名なのでドイツの方もそう回答しているのでしょう。「ハッピースマイルマーク」と呼ばれているマルちゃんは国内製品にのみつくロゴですが、赤い丸の笑顔がかわいらしく親しみとおいしさを感じさせます(ちなみに東洋水産のロゴは加工業のイメージが強いデザインです)。

日清オイリオのロゴカラーは、オレンジと黄。「明るいほほえみ」をモチーフに製品が健康で幸せな生活につながるとしてシンメトリーと曲線で笑顔にも見えるグラフィックを作りあげています。

ミツカングループは、1887年作成のロゴに変革・挑戦・国際性の意味を込めた社名のロゴを加えて2004年に制作されたもの。「z」で「tsu」を置き換えて認知度を高め、「mi」の書体を変えて「買う「身」、「未」来、「魅」力、「味」覚、「水」などミツカングループに関わりの深い意味を持たせて」いるそうです。

また、生活関連商品を取り扱う花王は、1887年にできたお月さまのイラストに黄緑系の文字。1985年の社名変更で「花王」と記載されていた部分が、2009年にグローバル企業化を目指してアルファベットへと変更されています。黄緑には黄の新鮮さや緑の信頼性などのイメージがありますが、衣食住に関する企業では、おいしそうに見えて親しみのある赤や黄、緑など自然界にある色、またアイコン的なグラフィックを取り入れる傾向がよくあるようです。

■クロネコヤマト(ブラジル/20代後半/男性)
■クロネコヤマト(オーストラリア/40代前半/男性)

ロゴが印象的なクロネコヤマトのロゴ。もともとは1957年に業務提携していた米国の運送会社アライド・ヴァン・ランズ社のマークが由来です。いくつかの動物があった中からクロネコヤマトの当時の社長、小倉康臣氏が猫を選び、オリジナルのデザインとして社内で作成されました。母猫が子猫の痛くない部分を加えて優しく運ぶ様子に感動してできた、というのは知る人には有名な話。また理由は定かではないのですが、宅急便の「急」が荷物を運ぶ足のグラフィックになっているのもポイントです。ちなみにこの「宅急便」はヤマト運輸の登録商標で、ジブリのアニメ「魔女の宅急便」でのスポンサードにもつながりました。

■docomo(中国/20代後半/女性)
■docomo(アルゼンチン/30代前半/男性)
■dentsu(ロシア/20代前半/女性)
■日テレ(フィリピン/40代前半/女性)

2008年から採用されたNTT docomoのロゴは、「ドコモレッド」。「ヒューマンタッチ、未来感・明日、安心・信頼」などの親しみやすさや可能性、ダイナミックさや躍動的なさまを感じさせるデザインです。

また上記2社は表記が小文字になっていますが、これはIT企業の台頭やデザイントレンド、経営層からの要請などが理由にあると言われています。あるCI開発担当者の談話には「伝統的、格式、権威を感じさせる大文字に比べて小文字は若々しさ、親しみやすさ、柔軟さがある」ともあり、経営のスピード感や変化への対応力などをそうした部分で表現しているのでしょう。

■サンリオ(タイ/30代後半/女性)
■Toei Animation(スペイン/30代後半/男性)

文具、アニメ系などキャラクターに強い企業。例えば、海外でも大人気のハローキティやマイメロディを扱うサンリオのロゴ。昔から表記は「SANRIO」でしたが、かつてはリボンを巻いたようなハート型のアイコンのデザインでした。新しいロゴでもOをハート型は踏襲。太いペンで書いたようなキュートさもあり、まさに「かわいい」ロゴと言えます。

■テンプスタッフのデザインはかわいいと思います。(マレーシア/30代前半/男性)
■エステサロンなどはだいたいかわいくて、すてき。(スウェーデン/40代後半/女性)

こちらは女性をターゲットにした企業です。女性を中心とした派遣会社テンプスタッフのロゴデザインは、コーポレートカラーのショッキングピンクに動きとしなやかさのあるフォント。パッと見ても女性にアピール度が高く、かわいいデザインです。エステサロンのTBCもこちらと同じようなデザイン要素。一方、最近では銀座カラーなど資生堂的なレトロモダンさのあるデザインも増えているようです。女性にアピール度の高いロゴ表現のトレンドも変わってきているのかもしれませんね。

■ミスタードーナツ(イギリス/20代前半/女性)
■ミスタードーナツ(チュニジア/40代後半/男性)
■ミスタードーナツ(アメリカ/20代後半/男性)

一番多く挙がった回答ですが、こちらは実はアメリカの企業なんですよね…。1971年から日本で事業展開をしているので40代の方でも間違えやすいのでしょうか。かわいいアイコンと言えば日本、というイメージがもたらした不思議な現象です。

■私が知っている範囲ではかわいいものがありません。(ベトナム/30代前半/女性)
■これといったものはありません。(イスラエル/30代後半/女性)

ないという回答ももちろんあります。かっこよさ、かわいさは感覚によるところが大きいものですから仕方がないのでしょう。

かわいいロゴということで、グラフィックやアイコン的な物が多く回答に上がった今回のアンケート。衣食住などの生活系、女性向けサービス系、キャラクター系、また通信・宣伝などコミュニケーション系と、親しみやすさや快活さなどを重視する傾向が顕著に出ていましたよね。かっこいいロゴ、とはかなり赴きの異なる内容となりました。