リコーインダストリアルソリューションズは3月19日、米国でのIndustrial Internet Consortiumの設立やドイツのIndsutry 4.0戦略の推進などを踏まえ、産業用ロボットのロボットビジョン向けに産業用ステレオカメラ「RICOH SV-M-S1」を提供すると発表した。

製造業分野でのピッキングや部品の嵌合作業、物流業の荷物の積み下ろし業務などは、その複雑な動きから自動化が遅れている。その一方で、少子高齢化に伴う労働人口の減少が問題となると考えられており、その対応としてロボットの活用に期待が集まっている。

同製品はデジタルカメラで培ってきたステレオカメラ技術を応用することで、画像処理と視差演算処理をすべてカメラ内に最適な形でハードウェア化したことで、30fpsの連続高速3次元測定が可能。しかも認識まで1秒程度で実現できるという。また、独自のキャリブレーションシステムの採用による1m測定時に±1mmの高精度を実現。出荷状態でカメラキャリブレーションが完了しているため、面倒な初期調整がいらず、簡単に設置することが可能だ。

リコーの産業用ステレオカメラ「RICOH SV-M-S1」

測定視野は500mm×400mm、ワーキングディスタンス800mm~1200mmを確保しており、さまざまなニーズに対応することができる。

さらに、オプションとして専用の高輝度LED照明「RICOH SL-M-LE」も用意。2W以上の明るさを実現しつつ、2万時間以上の長寿命も実現。カメラとは別の筐体なので、用途に応じて最適な配置を行うことが可能となっている(電源部と発光部をつなぐ接続ケーブルは1m/3m/5mを用意)。

高輝度LED照明「RICOH SL-M-LE」。左が発光部、右が電源部

専用LED照明を用いた場合と用いない場合の3次元イメージの比較

いずれの製品も日本・米国・欧州・中国・韓国などの地域のロボットメーカーならびにシステムインテグレータをターゲットに販売を行っていく計画で、国内での販売はステレオカメラが3月25日、LED照明が6月下旬をそれぞれ予定しており、初年度300台の販売を目指すとしている。価格はカメラと照明のセットで、基本構成で150万円ほどの見通しだが、案件などにより変化するため、興味を持った方は、まずは問い合わせをしてもらいたいと同社では説明している。

応用例。ピッキングシステム(左)や装置制御監視システム(右)などが想定される

なお同社では、ロボットと組み合わせて開発を行うためのSDKの提供も行うほか、今後、ワークサイズや機能の拡張などを行い、ラインアップの拡充を図っていきたいとしている。