富士通は3月2日、スマートフォンの画面を見るだけで、一瞬でユーザーの目の虹彩が読み取られ、ロック解除が可能となる虹彩認証システムを開発し、同技術を搭載したスマートフォンを試作したと発表した。

同社が開発した虹彩認証システムでは、赤外線LED照明で赤外線を照射し、赤外線カメラで眼球部分を撮影することで虹彩パターンを取得し、登録・照合する。従来は目と赤外線カメラの位置を10cm程度まで近づける必要があったが、今回開発したシステムは通常のスマートフォン使用時の目とカメラの距離でも使用が可能だ。光生物学的安全性試験を実施することで、赤外線LED照明を使用する際の目の安全性も十分に検証しているとのこと。

虹彩は2歳頃からほとんど変化せず、外傷を受けにくい、偽造が困難などの特長があるが、虹彩認証システムを構成する部品のサイズや性能がスマートフォン搭載のハードルとなっていた。富士通は今回、専用の高出力な小型赤外線LED照明と赤外線カメラを開発し、これまで培ってきた生体認証技術やカメラ制御技術を活用することで同認証システムを実現した。

今後、スマートフォンやタブレットはもちろん、同社のセキュリティソリューションへの適用を視野に入れた幅広い応用に向け研究開発を進め、2015年度中の製品化を目指すとしている。

試作したスマートフォンの概要図