KVHは2月20日、米Cienaと共同で実施した400Gbps光伝送の商用環境下での実証実験に日本で初めて成功したと発表した。

この実証実験は2015年1月から2月にわたり、KVHが東京・大阪間に展開しているバックボーンネットワーク上で実施された。

設備は、KVHが2013年3月に日本初の東京・大阪間100ギガビット・イーサネットを発表した際と同機種であるCienaの6500 Packet-Optical Platformを利用。CienaのWaveLogic 3コヒーレント光学処理プロセッサー装置を実装した200Gbpsコヒーレント光トランスポンダー2セットを用い、KVHの東京ネットワーク・ノードから大阪ネットワーク・ノードまでの660km区間において、100ギガビットクラスの複数商用トラヒック(DP-QPSK)併走のもと、信号再生成することなく400Gbpsの伝送(デュアル・キャリアDP-16QAM)を実現したという。

今回の実証実験環境

Ciena 6500

今回の400Gbpsの実証実験では、従来の"On-Off-Keying"からさらに高度なデジタル・コヒーレント受信方式である"DP-16QAM"(1波長200Gのスピードを実現)を採用したCiena製伝送機器を使用し実施した。

"On-Off-Keying"(左)、"DP-16QAM"(右)。どこが光っているかという位相によって情報を送るので、それぞれの光の間隔が短い"DP-16QAM"はノイズの影響を受けやすいという

KVH テクノロジー本部 執行役員濱田義之氏

KVH テクノロジー本部 執行役員 濱田義之氏は、「今回の実験でデジタル・コヒーレント光伝送技術を使った400Gbps通信を実用化できることを確認した。あとは、弊社がいつやるかというタイミングの問題だが、年内には商用利用を開始したい。これにより、東京・大阪間の高速通信をより多くの企業に提供できる」と語った。

濱田氏によれば、デジタル・コヒーレント光伝送技術を利用した400Gbpsの伝送は、研究所内の設備を使った成功例はあるが、屋外の商用環境を使っての成功例は国内初だという。

同氏は「400Gbpsはノイズが乗りやすい実環境で成功するかどうかがポイントだ。とくに今回利用したデジタル・コヒーレント光伝送技術は、ノイズが乗りやすい。そういう意味で、今回の成功は大きな価値のある成果だ」と述べた。