芝浦工業大学(芝浦工大)は2月19日、世界最高水準の処理能力を持つ酸分離用シリカ逆浸透膜を開発したと発表した。

海水の淡水化や高純度の工業用水の生産などに使用される逆浸透法に用いられる分離膜は、酸などの腐食性の強い液体に対しては性能を保つことができない。今回、同大学応用化学科の野村幹弘教授が開発した分離膜は耐酸性で、過酷な分離系への適用が可能。また、酸阻止率92%、全透過流束5.7kg m-2 h-1という世界最高水準の処理能力を示した。

例えば、酢酸は現在、酢酸水溶液の水を蒸発させることで酢酸を分離しているが、水の蒸発熱は非常に高く、膨大なエネルギーを消費している。そのため、野村教授の逆浸透膜を導入し、水を除発させることなく酢酸を分離できれば、大幅なエネルギー・コストの削減につながる。

野村教授は同技術で特許を出願中で、今後、耐酸性を向上していくことで石油精製の大幅効率化をはじめ、重金属を含む廃液処理用の分離膜などでの実用化を目指していくとしている。

透水試験装置。全長6cmの膜モジュール(金属部分)の中に分離膜が入っている