NTTはは2月18日、2020年に向けて、ビッグデータ分析を通じて人・モノ・情報の流れを近未来予測し、先行的に制御してイベントの混雑緩和を含む人や交通の流れの最適化を目指す研究開発の取り組み「himico」を開始すると発表した。本取り組みは2013年7月設立の、ビッグデータ分析の関連技術を結集した「機械学習・データ科学センタ」(MLC)を中核として同社の研究所が一丸となって取り組んでいくという。

himicoの概念

ビッグデータを用いた革新的なサービス創出においては、深いデータ分析技術(機械学習技術)に加え、関連技術(データベース、クラウド計算、セキュリティ等)、応用領域の専門家との密な連携、さらには、データの収集、活用方法に関する取り組みとの連携が必須で、今回、NTTの研究所によるデータの収集、活用も含めたビッグデータに関するトータルな取り組みを邪馬台国の預言者にちなみ「himico」と命名したという。

同社は、従来の技術では事象が「いつ・どこで発生するか」という時間と空間を特定した近未来予測は困難だったとした上で、新たに開発を目指す「時空間多次元集合データ分析」では、過去の一定期間のビッグデータから数時間程度先に起こる事象の発生時期(時間)と場所(空間)を近未来予測するとしている。

さらに、IoT(Internet of Things、モノのインターネット化)時代が本格化する中で、大量の各種センサーなどから得られる情報のリアルタイムでの観測・分析・予測・誘導を反復することで、人や物の混雑を緩和する最適化を目指すという。

時空間多次元集合データ分析による人の流れの全体最適化

具体的な応用例として、空港からの電車の混雑度を予測し混雑時にシャトルバスの割引・増便して誘導することでの全体最適、ランチ時間帯などのレストランの混雑度を予測して空いている店や時間帯へのクーポンなどでの誘導、通信量が急増する場所や時間帯を予測・制御しスタジアムなど混雑する場所での快適な通信の確保を挙げる。

himicoの応用例

同社は通信事業者として今回の取り組みを通信ネットワークに応用し、ネットワークが混雑する時間帯や場所などを近未来予測した上でSDN(Software Defined Networking)やNFV(Network Functions Virtualization)などのネットワーク制御技術などと組み合わせた「いつでもどこでも快適な通信の実現」を目指すとともに、他産業の企業との協働革新を通じて観光・交通・街づくり・スポーツ/エンタテインメント・流通・エネルギーなどの分野においても「いつでもどこでも快適な世界の実現」を目指す意向だ。