みずほ総合研究所はこのほど、2020年の東京オリンピック開催に伴う経済効果についてまとめた「みずほリポート」を発表した。それによると、東京オリンピック開催による経済効果は約28.9~36兆円規模になると試算している。
同リポートでは、東京オリンピック開催に伴う経済効果の定量的な試算を、マクロアプローチと個別事象の積み上げの両面から実施。まず、過去の開催国のケースを参考にマクロアプローチにより算出したところ、2020年にかけて日本の実質GDPが従来トレンドより上振れた場合、2015年度から2020年度までのGDP押し上げ効果は累計で約36兆円に上ると見込んでいる。
次に個別事象の積み上げによる試算を実施。その結果、直接効果については、大会運営費や観戦客による消費支出などの新規需要は約1兆円。2次波及効果まで含めた生産波及効果は約2.5兆円で、約21万人の新規雇用を創出すると予想している。また、付加価値誘発額は約1.3兆円と見ている。
上記の直接効果に加え、都市インフラ整備などの投資増加、観光需要の増大といった各種付随効果を積み上げると、約23.8兆円の新規需要が発生すると予測。それらの新規需要から誘発される生産額は60兆円、GDP押し上げ効果と同義の付加価値額は約28.9兆円となる見通しだという。
みずほ総研では、「GDP押し上げ効果と同義である付加価値誘発額28.9兆円と、マクロアプローチで求めた36兆円の乖離については、積み上げ試算の対象とした項目以外の各種事象の効果や、生産性向上に伴うGDP押し上げ効果と解釈することも可能だと思われる」としている。
なお、試算のうちいくつかの項目においては、日本再興戦略における成果目標の実現を前提としており、経済効果を最大化させるためには「成長戦略の着実な推進や企業行動の積極化が求められる」としている。