ジュニパーネットワークスは、高度なインテリジェント・ネットワーク、クラウド、セキュリティ、チャネルの4分野における2015年に予測されるトレンドを発表した。ここでは、そのなかで興味深いトピックを選んで掲載する。

進展するプライベート・クラウド構築

ジュニパーネットワークスは、一般的なIT分野以外の企業が製品やサービスを顧客に提供する際に、新たな方法でクラウドを利用するようになると予測。モバイル決済、氾濫する接続されたデバイス、それらに伴うセキュリティ上の懸念の増加により、これまで想像もしなかったような形で産業別の垂直構造が変化。健康状態を記録するデバイスによりライフスタイル企業へと転身したアパレル企業のナイキや、モバイル決済やコンテンツ配信の普及に貢献したスターバックスに続き、より多くの企業がプライベート・クラウドを構築し、顧客が求めるサービスを提供するようになるという。

そのほか、2015年には、Hess社のような石油・天然ガス企業など予想もしないような企業を含めて、あらゆる地域と業種においてクラウドの構築が進められ、すべての業界において、クラウドの構築が競争上の強みになるという。

底値競争の幕開けと継続

Microsoftは最近、Office 365ユーザー向けの無制限のクラウド・ストレージを発表したが、Amazon Web Servicesも安値攻勢を仕掛けている。しかしこれは、クラウド価格戦争、底値競争の幕開けに過ぎず、消費者モバイル市場やブロードバンド市場でも同様の動きがあるという。同社では2015年には、クラウド事業者は価格戦争の激化にともない、差別化と関連性および収益の維持を図るための新たな方法を見出す必要が出てくるとしている。

2015年のSDN

同社は市場とテクノロジーが成熟し、企業がその価値を認識することにともない、SDN(Software Defined Network)の新たな利用が増えると予測。2014年7月にジュニパーネットワークスが発表した調査では、SDN導入に対する積極的な姿勢が明らかになったという。

主な活用法としては、アナリティクスと連携させたSDNにより、顧客に求められる前に必要なサービスを提供できる俊敏性を実現することが挙げられるという。

「IoT」が引き続き注目を集める一方で浮上するクラウド

あらゆるものが互いに会話をし始めるようになるため、2015年には「IoT」は企業にも忍び寄ってくる見通しだという。現時点では、接続されたデバイスの通信プロトコルの種類が多様なため、エコシステムは広まっていないが、デバイス同士の会話がより活発になれば、総じて生成されるデータの量が急増することが予想されるという。

また、サービスプロバイダは、急増するデータに対応できるネットワーク・インフラに加え、実行可能なビジネス・インサイトを引き出す能力を必要とするようになるという。

拡大・成熟を続けるサイバー闇市場

同社は2015年には、サイバー闇市場のさらなる拡大と成熟ぶりを目の当たりにすることになると警告する。依然として脆弱なPOSシステムとクラウドサービスの増加に支えられ、金銭目当ての攻撃者の市場機会は今後も拡大。コンピュータ・システムの脆弱性に付け込むための新たなハッキング・ツールやエクスプロイト・キットが開発される可能性があるという。これに対して、FBIなどの法執行機関がSilk Roadなどの闇サイトを取り締まっているが、盗難された記録や違法物品などへの旺盛な需要を満たすための新市場がすぐに開設され、闇サイトに取って代わるため、主要クラウド事業者や小売業者への大規模なセキュリティ侵害により、今後も多数のクレジットカード情報やオンライン認証情報が闇市場で供給される可能性があるという。

セキュリティ分野に拡大するデータ・サイエンス

同社は、今後も業界では、より優れた実行可能な脅威情報の提供に注力するため、セキュリティ分野におけるデータ・サイエンティストへの需要が高まる可能性があるとする。他の分野ではすでに需要が高まっているが、脅威データをより正確かつ効果的に相関させることができるデータ・サイエンティストへのニーズも高まりる。データ・サイエンスをセキュリティ分野に上手く適用できる企業は、攻撃や攻撃者に関する信頼性と有用性の高い情報を提供できるため、市場競争において差別化を図ることができる。

パスワードを衰退させ主流になる二要素認証

多くの企業がますます二要素認証を導入し、一般的なユーザーへ推奨するか、デフォルトで提供するようになるという。Apple、Google、Microsoftでは、二要素認証をしばらく前から使用しているが、それ以外の大企業や中小企業でもパスワードの相対的なリスクから逃れるため、この認証プロセスを導入するようになるという。これにより、クラウドなどの各種オンライン・サービスの認証情報に対するハッキングの頻度は、短期的に減少する可能性があるが、いずれハッカーはこうした新たなシステムをより巧みに突破できるようになるという。

自分自身でセキュリティを管理するようになる消費者

同社は情報を収集する企業にもっぱらセキュリティを依存するのではなく、消費者がデータの保護のために利用するセキュリティ・サービスの数が増加すると予測。消費者は、個人的に利用している企業が個人情報を十分に保護していないことに気が付き始めており、2015年に企業は消費者の信頼と信用の不安を解消するため、第三者に支援を求めるようになるという。特に、パスワード・マネージャーや詐欺モニタリング・サービスの利用が増加する見込みだという。