岡山大学はこのほど、成体腎臓から取り出した幹細胞を用いて、試験管内での腎臓構造の再現に世界で初めて成功したと発表した。

同成果は同大学病院腎臓・糖尿病・内分泌内科の喜多村真治 講師、槇野博史 病院長、杏林大学医学部薬理学教室の櫻井裕之 教授らの研究グループによるもので、11月24日(現地時間)に米・科学雑誌「STEM CELLS」に掲載された。

同研究グループは大人のラットから採取した腎臓幹細胞を三次元培養することで、立体構造を持った腎臓構造体の作製に成功した。腎臓構造体は本物の腎臓の構造の最小構成単位であるネフロン構造を有しており、機能も一部確認された。

腎臓構造体 全体像

成熟個体の細胞から腎臓構造体を作製できれば、創薬やオーダーメイド治療、動物愛護の観点から動物実験に変わる動物実験代替の臓器モデルになり得る可能性がある。また、幹細胞から腎臓構造再構築のメカニズムを詳細に検討することにより、腎不全の新たな治療や移植可能な臓器作製が期待されるという。