米NetAppは10月27日(現地時間)、翌日(現地時間)から米ラスベガスのホテルで開催される同社のテクノロジーイベント「Insight 2014」の会場で、自社ストレージ製品向けOSの新バージョン「clustered Data ONTAP 8.3」を発表した。

米NetApp Vice PresidentでData ONTAPのマネージメントを行っているJohn Frederiksen氏は「clustered Data ONTAPはシェアNO.1のストレージOSで、重複排除、圧縮、プロビジョニングにフォーカスしている。8.3は2年をかけて開発し、無停止運用すること、導入を簡易にすることに注力してきた」と説明した。

「Insght 2014」の会場で、「clustered Data ONTAP 8.3」を発表する米NetApp Vice PresidentでData ONTAPのマネージメントを行っているJohn Frederiksen氏

8.3では、まずオールフラッシュ構成時のパフォーマンス向上が図られている。これは、前月、初めての製品の出荷が開始されたFlashRayのテクノロジーを移植していることと、Readのパスを短くしたことで実現されたという。これにより、IOPSは36万、レイテンシーは1.3ms以下を達成。前バージョンの8.2から約70%の性能向上が図られているという。

同社のフラッシュストレージには、FASシリーズなどclustered Data ONTAPを搭載した製品と、別OSを搭載したEシリーズとFlashRayの3つが存在するが、これらはいずれ統合されていくのかという質問にJohn Frederiksen氏は、「FlashRayは専用機という位置づけでそれぞれ用途が違う」と、今後も別々に開発していく意向であると述べたが、「ほかでも使える技術は移植する」「それぞれの製品間でのデータ移行は担保していく」と、互いの連携は深めていくとした。

パフォーマンス向上は、企業の始業時にアクセスが集中するVDIに特に効果があるという。

John Frederiksen氏は、「VDIのシステムはこれまで専用のシステムとして構築されることが多かったが、パフォーマンスの向上により、ファイルサーバなど、他のシステムと共存させることができる」と述べた。

また。8.3では、一部ユーザーに限定的に提供していた「NetApp MetroCluster」機能を標準搭載した。「NetApp MetroCluster」は、最大200km距離が離れた地域間どうしでClusterを構築できる機能で、リモートでのフェイルオーバーを実現。災害時や計画停電などに有効な機能だ。片方の設定がもう一方に自動的に複製されるため設定が容易で、他社の同様のシステムに比べ、安価にできるという。

そのほか、最新バージョンではリソースを利用するためのロジックに変更が加えられ効率性が向上。エントリー向けストレージのFAS2200/2500では、利用できるスペースが70%以上拡大。フラッシュストレージでは約15%GB単価が低減しているという。

「clustered Data ONTAP 8.3」での効率性向上