今年の夏は、京都府や広島県などの各地で豪雨災害が多発しました。気象庁はこの夏の天候が「異常気象」だったとし、8月頃の豪雨災害に「平成26年8月豪雨」と命名しました。地球温暖化が進むと、これまでより激しい気象現象が多くなるとされています。将来は、今年体験した「異常気象」が普通になっていくのかもしれません。
今は秋も深まり、天気もずいぶん落ち着いたように思います。しかし、気象災害は季節を問わず発生します。気象情報は「防災情報」。穏やかな天気が続いても、日ごろから気象情報を確認しておくことが、不意の雨や気象災害に備える第一歩なのです。
知っておきたい天気予報のポイント
気象庁によると、気象情報をテレビから得る人は実に7割以上にのぼるということです。テレビをつけていると、1時間に1回くらいは天気予報を見ることができます。ただ、その天気予報が常に最新であるとは限りません。
天気予報が発表される回数は基本的に1日3回。5時と11時、そして夕方の17時と決まっており、その発表を基にテレビの天気予報を流しているため、どうしても情報の誤差が生じる可能性があります。また、テレビの天気予報は、時間的、画面的にさまざまな制約があるため、伝えられる情報は、大きな現象や激しい現象が中心になっていきます。ですから、どうしても伝えきれない情報が出てきます。
「晴れ時々くもり 所により雨」って?
例えば、あすの天気予報が「晴れ時々くもり 所により雨」という場合を考えてみましょう。
前半の「晴れ時々くもり」の意味は、文字通り晴れたり曇ったりの状態です。ただし、晴れている時間のほうが長く、曇っている時間をすべて足しても12時間未満という意味です。そして「所により雨」は、雨と予報発表がされているエリアの半分より狭い範囲での雨が予想されていることを表します。
ただ、テレビの画面にはほとんどの場合、雨のマークは出てきません。そして、このとき降るかもしれない雨は弱いとは限りません。雨を用いる表現では、「やや強い雨」が1時間に10~20ミリ未満、「強い雨」が20~30ミリ未満、「激しい雨」が30~50ミリ未満の雨を意味しています。
つまり、「所により雨」は「やや強い雨」ではないのですが、10ミリ近い雨が降る可能性も含んでいるということです。ちなみに1時間に1ミリの雨は、傘を差さないとぬれてしまうレベルのものです。こうしてみると、「晴れ時々くもり 所により雨」への認識が変わる人もいるかもしれませんね。
降水確率100%=大雨とは限らない
また、天気予報では、雨の降りやすさが降水確率として発表されています。これも、誤解されがちな予報のひとつです。
例えば降水確率100%と聞いたとき、大雨になると思われることがありますが、そうとは限りません。「1時間に1ミリ以上の雨」が降る確率が100%というだけで、それが1ミリなのか100ミリなのかは、天気予報は問われてはいないのです。
では降水確率0%ではどうでしょうか。実はこのときも、傘が必要ないくらいの1ミリに満たない雨は降る可能性があるのです。なお、現在の天気予報の精度がどのくらいでしょうか。地域や季節によって差はありますが、気象庁によると翌日の降水の有無に関する適中率は、全国平均で83%とのことです。
積極的に気象情報を得よう
今はスマートフォンなどを使って、誰でも手軽にインターネットを利用できる時代です。気象情報の入手方法として、テレビに次いで多いのはインターネットです。インターネット経由の気象情報は、積極的に活用していただきたいと思います。
天気予報の中には、天気や降水確率のほか、風向風速、波の高さ、気温などの情報があります。そして、それらを時間ごとに示した時系列予報や、各地の週間予報などを見ることもできます。インターネットを活用すれば、テレビよりも早く、詳しい情報を簡単に得られます。離れた地域の予報も知ることができますから、レジャーなどで遠出をしようという方は、目的地の天気や移動経路の天気も把握できます。
テレビもインターネットも、手軽さや情報内容の観点では一長一短があります。それらの長所を理解して普段から天気予報に注意を払い、最近の天気がどのように変化しているかを把握しておくことが、不意の雨や災害から身を守る近道です。
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筆者プロフィール: ライフビジネスウェザー
ライフビジネスウェザーは、生活に密着した生活気象(ライフウェザー)と業務上役立つ産業気象(ビジネスウェザー)を応用し、市場のニーズに合わせて1kmメッシュという高解像度気象予測をコンテンツ化。提供する“しくみ”や表現方法までこだわり、実生活や業務で使えるツールを企画・開発・販売しており、建設現場・スポーツ施設・流通向けなど、さまざまな分野で活用されている。