トヨタ自動車は9月5日、米国ミシガン州で9月7日より開催される「第21回ITS世界会議デトロイト2014」に先立ち、安全運転支援に向けた自動運転技術に関して、高度運転支援システムと要素技術の開発状況を公表した。

高度運転支援システムでは、高速道路上での安全運転を支援することを目的にオートメイテッド・ハイウェイ・ドライビング・アシスト(AHDA)を開発し2013年秋に公表している。今回、新たにITS世界会議で展示されるAHDAは、昨年のものとは異なり車車間通信技術は搭載していないが、米国の実際の道路環境に合わせて改良されており、時速70マイル(約110キロ)まで対応可能。このAHDAは、主に3つの技術により、高速道路で安全に車線・車間を維持しながら走行できるよう、ドライバーの運転を支援する。このうち、ダイナミック・レーダ・クルーズ・コントロール(DRCC)は、フロントグリルに搭載された77GHzのミリ波レーダで先行車を検知し、一定の車速および先行車との距離を確保する。また、レーン・トレース・コントロール(LTC)では、前方カメラや77GHzのミリ波レーダからのデータを用いて白線や前方車両を検知し、最適な走行ラインを算出して、自動的にステアリングや加減速を適切に調整。ドライバーが車線内で、走行ラインをより簡単かつ安全に維持できるよう、支援を行う。

さらに、ヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)では、高度運転支援システムにおいてもドライバーが常に運転の主役であるべきとの考えのもと、手動運転と自動運転の切り替えがスムーズに行えるよう、専用のHMIを採用している。プレビューHMIでは、走行中の道路状況および、これまでに蓄積されたセンサの作動実績データに基づき、高度運転支援システムの利用が制限されうる場面で、ドライバーに事前に警告を発する機能を備えるのに加え、地図データ、GPS、カメラ、レーダなどを活用することで、現在走行している車線を把握し、より正確に警告を発することができる。この他、ドライバーモニタやステアリング・タッチ・センサなどの技術により、ドライバーの顔の向きやドライバーの手がステアリングに触れているかを検知することで、運転への集中度を判断し、必要に応じてドライバーに警告を出す。なお、今回公表のAHDAに基づいた技術を、2010年代半ばに米国で商品化する予定という。

要素技術では、豊田中央研究所と共同開発した車載用イメージングレーザレーダ(SPAD LIDAR)を新たに公開した。SPAD LIDARは、性能向上に加え、大幅な小型化、低コスト化を図り、コンパクトに車載することができる。また、従来のミリ波レーダとステレオカメラ両方の機能を1つに集約し、障害物の位置や形状を高精度で検知できるとともに、昼夜問わず、外光に合わせて感度を調節するアクティブセンサを搭載している。

そして、3Dヘッドアップ・ディスプレイ(3D-HUD)は、米国のToyota Info Technology Centerを中心に、人と車両の連携向上を目指し、開発を進めている革新的なインタフェースである。車両の状態、標識や交通状況などの情報を、フロントガラス越しの道路上に重なるように3D表示することができる。このような、クルマとドライバーが"チームメイト"となるキーデバイスとして研究中であるとコメントしている。

高速道路上での安全運転を支援することを目的としたAHDA搭載車