大阪桐蔭が2年ぶり4度目の優勝を成し遂げ、幕を閉じた夏の甲子園。史上初の開幕2日間順延でスタートした今大会は、甲子園球史に残る印象深い大会となった。今回は大会で話題となった出来事を総ざらい。数々のトピックスを、まとめて公開しよう。

健大高崎の脇本直人。甲子園では打率5割、6盗塁という活躍が評価され、日本代表にも選ばれた。

開幕戦でセンバツ王者が敗退!

大会1日目の開幕戦で、センバツ優勝校の龍谷大平安(京都)が登場するも、1-5で春日部共栄(埼玉)に敗れる波乱の幕開け。春夏連覇は開幕して数時間で夢と消えた。

奇跡の8点差大逆転!

大垣日大(岐阜)vs藤代(茨城)の試合は初回、藤代がいきなり8点を先制。初回で勝負を決めたかに思われたが、大垣日大がその裏にまず4点を返す。5回以降も毎回得点で反撃すると、1点差で迎えた8回裏に3点を奪ってついに12-10と逆転。最大8点差をひっくり返した仰天の試合となった。

まさかの一塁送球でサヨナラ負け

意外なプレーで決まったのが鹿屋中央(鹿児島)vs市和歌山(和歌山)の試合。延長12回裏、鹿屋中央は1死一、三塁で、打者・米澤佑弥の打球はセカンドへ。三塁走者がスタートを切っていたので、本塁へ投げるのがセオリーだが、市和歌山の二塁手・山根翔希は一塁へ送球。まさかの展開で市和歌山はサヨナラ負けを喫した。

超遅球は社会問題に!?

東海大四(南北海道)の西嶋亮太は、50キロ前後といわれる超スローボールで球場の雰囲気を変えるなど、コントロールよくストレートと変化球を投げ分ける投球術で、九州国際大付(福岡)の強力打線を封じた。しかし、この超スローボールが大論争を呼ぶことに。Twitterでは「高校生らしくない」「野球をなめている」という意見が挙がるも、あのダルビッシュ有(レンジャーズ)が西嶋を擁護。その投球を批判していた人物が謝罪するなど「超遅球」は思わぬ反響を呼んだ。

北信越勢が大躍進

大会8日目に、日本文理(新潟)と星稜(石川)がそれぞれ勝利し、この日まで北信越勢が負けなしの9連勝を飾った。敦賀気比(福井)は5戦連続2ケタ安打を記録するなど打線が爆発。日本文理とともにベスト4まで勝ち残り、北信越勢の躍進が目立った大会となった。

足で魅了! 「機動破壊」がさく裂

「機動破壊」を掲げる健大高崎(群馬)が、利府(宮城)を相手に1試合で11盗塁と縦横無尽に走り回り10-0で勝利するなど、猛威をふるった。最終的に4試合でチーム26盗塁を記録。1番打者の平山敦規は、甲子園大会では93年ぶりのタイ記録となる1大会8盗塁をマークした。

59年ぶりの快挙を成し遂げた三重ナイン

三重(三重)の今井重太郎が、準決勝の日本文理戦で完封。4戦連続完投で、三重県勢としては優勝した1955(昭和30)年の四日市以来となる59年ぶりの決勝戦へチームを導いた。翌日の決勝戦でも今井は先発して7回、104球を投じた。全6試合に登板して合計814球を投じた熱投はお見事。1大会で800球以上投げたのは2006(平成18)年、あの早稲田実業(西東京)の斎藤佑樹以来だという。

王者・大阪桐蔭の強さの秘密とは

甲子園球場設立90周年にあたる夏の大会を制した大阪桐蔭(大阪)。藤浪晋太郎(阪神)と森友哉(西武)のバッテリーで優勝して以来、2年ぶりに頂点に立った今大会では、準々決勝から3試合連続逆転勝ち。前回優勝時は全試合で相手に一度もリードを許さなかったが、今回はしぶとく逆転する野球で全国制覇を果たした。大阪桐蔭の西谷浩一監督がよく口にする、「粘って粘って後半勝負」をまさに体現する試合展開だった。

今回の甲子園出場選手を中心に日本代表チームが結成され、あの「侍ジャパン」のユニフォームを身にまとって現在、「第10回 BFA 18Uアジア選手権」が開催されている。前回大会を優勝している日本は史上初の大会連覇を狙う。残念ながらCS放送も含めて、テレビ中継はないが、甲子園を沸かせた球児たちがどんな活躍をするか、非常に楽しみだ。大会は9月6日まで行われている。

週刊野球太郎

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