万引き犯宛てのメッセージ

古い漫画や玩具を取り扱う商店の「まんだらけ」は8月12日、まんだらけ中野店で万引きを行なった犯人の顔写真を公開するとしていたが、警視庁の要望に応える形で公開を中止した。

この問題は、8月4日の17時頃、まんだらけ中野店4階にある「変や」で、店頭価格25万円の野村トーイ製ブリキ玩具「鉄人28号 No.3 ゼンマイ歩行」が盗まれたことに端を発している。

まんだらけは、盗んだ犯人に向けたメッセージを同社Webサイト上で公開。監視カメラに映っていた犯人のキャプチャらしきものをモザイク加工した上で公開し、「8月12日までに返却しない場合は顔写真のモザイクを外して公開する」としていた。

しかし顔写真公開に対して万引き犯を捕まえる上で有効な手だと賛同する声がある一方、冤罪だった場合にどうするのかといった否定的な意見も見られるなど、賛否両論入り乱れる事態となっていた。

その後、一部報道で警視庁も「まんだらけ」に対して公開中止を求めていることが明らかになったが、顔写真公開日の前日である12日に、同社が要請を認める形で「顔写真の公開を中止する」と発表した。

発表の中で「まんだらけ」は、「予想外に多くの方から応援メールや電話をいただいた」と触れ、感謝を述べた。これについて同社は「法制度や司法・警察の現状にやりきれない思いを持っている」ことだとして、万引き犯への対処に苦慮する小売店の現状を指摘した。

その一方で、「あくまでも法令遵守を基本として警察の捜査に協力する立場である」ことと、「窃盗した商品の本人の良心に基づいて自主的に返還してほしかった」ことから、モザイク付きの写真掲載を続けていた。

また、期日直前になって、犯人の身内(女性)らしき人物から「20時までに返せば良いのか」との電話があり、「まんだらけ」としても返還を期待していたのだという。

しかし、12日の夜になると、報道陣が店舗付近に集まってしまい、犯人が入ってこられる状況になかったことや、証拠が十分に揃っていることから「警察の方々のお力を信じておまかせする」として、全面公開の中止を決定したようだ。

顔写真公開中止の案内(モザイクは編集部による加工)