Criteo CEO 兼 共同創設者
ジャン-バティスト・リュデル氏

CRITEO株式会社は7月24日、Criteo CEO 兼 共同創設者であるジャン-バティスト・リュデル氏の来日にあわせ、メディア向けに会見を行った。

Criteoは2005年にフランスで設立。膨大なデータの分析をもとに個人の興味や関心に応じたパーソナライズ広告をリアルタイムに配信することで、ECサイトなどにおいて高いエンゲージメントとコンバージョンを実現するダイナミックリターゲティング広告ソリューションをメイン事業に、グローバルで6000を超えるクライアントが利用している。comScoreの調査によると、グローバルで10億近いユーザーにリーチ。日本国内においても90%に近いユーザーが同社のディスプレイ広告を見ているという。

リュデル氏は、まず、マーケティング業界での有名なジョーク「マーケティング予算の半分は無駄である。問題はどちらの半分が無駄なのかわからないことだ」を引き合いに出し、マーケティングディレクターの夢は「適切な広告を、適切なユーザに、適切なタイミングで、適切な場所に掲載することだ」と述べ、「この部分こそがCriteoが100%フォーカスしていることだ」と強調した。

Criteoは「デジタルパフォーマンス広告を最適化すること」に注力。ユーザのエンゲージメント、そしてコンバージョンを、PCやスマートフォン、タブレット端末といったスクリーン上のディスプレイ広告で最適化している。その裏側ではクライアントサイトで得たユーザの行動履歴やその行動が行われたページのコンテンツといった膨大なデータを分析し、その情報をもとに個人ごとにパーソナライズされたリターゲティング広告を出すという「洗練されたテクノロジー」が支えている。

このダイナミックリターゲティング広告によって、クライアントは大きなメリットを得られる。つまり、どれぐらいの投資に対してどの程度のコンバージョンが得られたかというROIが具体的にリアルタイムに見られることになる。

リュデル氏は「多くのマーケティングキャンペーンがROIを測るのに苦労しているが、我々のソリューションはこのことが大きな差別化になっている」として、「Googleが実現した検索連動型広告を、ディスプレイ広告で実現しようというのがCriteoのビジョンだ」と語る。

CPCで費用が発生する検索連動型広告。これをCriteoはディスプレイ広告においても実現し、ROIを測れるようにしたことがひとつのイノベーションだという。「我々は検索連動型広告とディスプレイ広告のよい部分をあわせたソリューションを提供している」とリュデル氏。Criteoは、媒体からはCPMで在庫を購入、クライアントへはCPCで請求する。これはCPMで在庫を売りたいという媒体側にとっては望むところだが、Criteoにとっては赤字になりかねない仕組みとも言える。

このリスクをCriteoはテクノロジーの力で解決している。

「リアルタイムにユーザのクリックの可能性を予測する必要があり、1インプレッションごとにその可能性を計算するPredictive Engine(予測エンジン)が重要」だとする。実際に同社はテクノロジーを重視しており、グローバルで1000人を超える社員のうち、エンジニアが4割を占めている。

このようなCriteoのサービスが市場において競争力を有し、差別化を図れる要因としてリュデル氏は以下の4点を挙げる。

  1. CPCモデルでの課金。これはROIを簡単に測れるというメリットだけではなく、(赤字のリスクを解決するためにCriteoが予測エンジンを洗練させ)より品質の高い在庫のみに広告が表示されることにもつながる

  2. 予測エンジンの精度を高めるために、クライアントサイト上でのショッピングデータやユーザ行動にアクセスできる能力を有していること

  3. 膨大なデータによって得られた予測を即座に反映する自動化されたプラットフォームを有していること

  4. ROIをリアルタイムに測ることによってキャンペーンを常時稼働できることと、CPCでの課金によってクライアントはROIのターゲットを決めることで(例えばマーケティングコストを収益の10%以内に抑えるなど)目標を達成している限りは広告を出し続けられるという2つのスケーラビリティ。後者は、"マーケティング予算"が"オペレーションコスト"という考え方に変わるということになる

このような競合優位性によって、6000超のクライアントを抱えるCriteoは、2013年の収益において4億4400万ユーロを達成している。このような数字に加え、リュデル氏が誇りだとするのが顧客の維持率だ。「6000超のクライアントにおいて90%の維持率を長期に渡って実現している。一度、我々と仕事をしてもえれば、その後、長い間継続して使ってもらっている」。

2013年にCriteoはモバイルデバイスでの本格展開を開始したが、この分野の成長にも期待しているという。そしてモバイル戦略においては、日本市場が重要なポジションにいるとする。実際にCriteoのモバイル展開は日本で開始し、それを世界に拡大してきたという流れがある。リュデル氏は「モバイルコマースでは日本は最先端」と語る。

2013年10月にNASDAQへの上場を果たしたCriteo。課題であったモバイルにも対応し、今後のモバイルデバイスへユーザのシフトにも準備は万全に思われる。パーソナライズにおいても、より多くのデータを分析に取り込むことによってさらに精度を高めようとしている。「(分析によって得られた)買うかもしれない商品を100個レコメンドするのは簡単だが、買う可能性のあるそれらの中からもっとも可能性の高い数個の商品を適切に紹介することが重要だ」と改めてリュデル氏はテクノロジーの重要性に言及した。