日本三大祭のひとつである京都府京都市の「祇園祭」が1日開祭。神輿洗や神幸祭、花傘巡行などさまざまな行事が、市内各所にて31日まで行われる。

「祇園祭」山鉾巡行の様子

幕末以来途絶えていた「大船鉾」が150年ぶりに巡航復帰

同祭は、およそ1,100年前の平安時代前期(9世紀)から続く京都・八坂神社のお祭りで、毎年7月1日から31日までの1カ月にわたって、京都市内の中心部で行われる京都の夏の風物詩。その歴史の長さ、豪華さ、規模の大きさは世界でも有数で「京都祇園祭の山鉾行事」はユネスコ無形文化遺産へ登録されている。

期間中は神輿洗や神幸祭、花傘巡行などさまざまな行事が市内各所で行われる。中でも祭のハイライトは豪華絢爛な山鉾巡行。交通渋滞の緩和や観光振興といった観点から、昭和41年から7月17日に前祭・後祭合同巡行が行われてきたが、今年は49年ぶりに後祭(あとまつり)が復興。伝統的な習わしに則り、17日(前祭)と24日(後祭)の2度、山鉾巡行が行われる。

さらに今年は後祭復興のシンボルとして、応仁の乱前(15世紀前半)から後祭巡行のしんがり(最後尾)を務めてきた「大船鉾」(おおふねほこ)が、幕末の蛤御門の変での本体部分焼失以来150年ぶりに巡行復帰し、その雄姿を現す。

大船鉾とは、江戸時代末期まで祇園祭の後祭の最後尾を飾ってきた船形の鉾。幕末の蛤御門の変による大火で、本体部分を焼失して以来、休み鉾となっていた。しかし平成9年にはやし方が復活したことを皮切りに、地元四条町の町衆(現:四条町大船鉾保存会)の手によって少しずつ復興へ向け、準備が行われてきた。

保存会による復興事業は資金調達の面などから一時難航を極めたが、本体胴組は京都青年会議所から、屋形部分は京都ライオンズクラブから寄贈され、鉾の裾幕や音頭取りの衣装は京都市立芸術大の学生がデザインするなど、各方面からの支援と地域の協力により、およそ20年の年月を掛けてようやく再興のめどがたったという。

また期間中にはさまざまな催しも開催。「後祭親子で巡るスタンプラリー」は、小学生を対象とし、親子・家族で後祭十ヵ町を巡り、スタンプを押印し10カ所回った人に後祭十ヵ町の町印をプリントしたクリアファイルを記念品として贈呈する。エコ屋台村(前祭:15~16日、後祭:21~23日)は、リユース食器を用いた「エコ屋台村」を鉾町近辺に開設し、環境配慮型店舗の魅力を発信する。

同祭の開催期間は1日~31日。場所は京都府京都市東山区祇園町北側625番地・八坂神社、ほか市内各所。山鉾巡行の日程は前祭が17日、後祭が24日。