理化学研究所(理研)は、7月2日付で英国科学誌「Nature」が、「STAP細胞」に関する研究論文2報を取り下げたことを受け、2014年1月29日に発表したSTAP細胞に関する研究発表を取り下げた。また、併せて、同研究に関わった理研の笹井芳樹 副センター長、丹羽仁史プロジェクトリーダー、若山照彦 山梨大学教授/理研客員主管研究員のコメントを掲載した(小保方晴子 研究ユニットリーダーのコメントは7月4日13時30分時点で掲載予定の状態)。
笹井氏のコメントは以下のとおり(原文ママ)。
論文撤回に際して
私どもが発表した2つの論文に、多くの誤りが存在することが判明し、撤回いたしましたことは、研究者として慚愧の念にたえません。また、こうした誤りを事前に発見できず、それらを回避し不正を防止する指導を徹底しきれなかったことを、共著者として痛切に後悔し反省しております。こうした事態に至り、多くの混乱と失望を生みましたことを、心中より深くお詫び申し上げます。
今回の撤回により実験的な根拠が失われ、その後新たに判明してきた細胞の遺伝子型などの齟齬などを照らしあわせると、STAP現象全体の整合性を疑念なく語ることは現在困難であると言えます。研究所の若手研究者育成を担うべき副センター長としても、本件に関する重い責任を感じ、その進退については理研の判断に従う所存です。2014年7月2日
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター
笹井 芳樹
丹羽氏のコメントは以下のとおり(原文ママ)。
Nature論文撤回について
論文作成過程における数多くの誤りから、本論文が撤回される事態に至りました事は、共著者として誠に遺憾であり、慎んでお詫び申し上げます。本件に係る疑問点につきましては、今後もその解明に真摯に対応していく所存です。
丹羽仁史
独立行政法人理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター
若山氏のコメントは以下のとおり(原文ママ)。
山梨大学生命環境学部生命工学科 教授
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター客員主管研究員
若山 照彦Nature誌へ掲載した2つの論文の撤回について
先に、Nature誌に掲載されたSTAP現象に関する2つの論文が、本日正式に撤回されました。撤回によって、皆様のご期待を裏切る結果となり、大変申し訳なく思っております。
これらの論文は発表直後から図や文章に多数の疑義が指摘され、そのうちのいくつかは論文の根底に関わる重要なものでした。そこで、論文の撤回は研究者にとって最もつらい選択ですが、3月10日に論文の撤回を共著者に呼びかけました。
その後、2点の疑義が不正認定され、さらに新たな疑義が複数指摘されていることからも今回の論文撤回は必要な処置と考えます。
なお、理研では1月29日に発表したリリーズ文を今回を機に取り下げたとしているが、2014年7月4日時点では、「参考のためにしばらく公開を続けます」とし、閲覧ができる状態にしている。