ノークリサーチは6月30日、中堅・中小企業におけるPCの導入形態および管理/運用の実態に関する調査の結果を発表した。これは、「2014年版 中堅・中小企業におけるPC環境の実態と展望レポート」のダイジェストとなっている。

調査は、2014年4月から5月に、全国・全業種の年商500億円未満の中堅・中小企業の企業経営もしくはITインフラの導入/選定/運用作業に関わる社員に対して実施されたもので、有効回答件数は1,087件。

年商5億円以上50億円未満の企業クラスに属するユーザー企業に対し、「導入済みPCのハードウェア形態」と「導入予定PCのハードウェア形態」を尋ねたところ、「デスクトップPC」や「A4サイズノートPC」といった従来型端末が依然として多くを占めていることがわかった。

同社は、全体に占める割合は1割から2割弱ではあるが「タブレットとしても利用可能なタブレットPCやスレートPC」について、導入済みと比べ導入予定における回答割合が高くなっている点に留意する必要があると指摘している。

「導入済みと導入予定のPCハードウェア形態の比較」 資料:ノークリサーチ

同社によると、通常のPC更新サイクルに沿った提案だけでは、デスクトップ仮想化やクラウドサービスといった新たなPC形態を訴求することは難しいが、多種多様なPC管理・運用の取り組みの中には、その実現手段としてデスクトップ仮想化やクラウドサービスが比較的多く選ばれるものもあるという。

「PC管理/運用に関する最優先項目を実現する際の最も望ましい実現手段」 資料:ノークリサーチ

「遠隔からの離れた拠点のPCの管理・監視」の最も望ましい手段を尋ねた結果、「デスクトップ仮想化環境を構築する」の回答割合が比較的高くなった。ただし、ここでのデスクトップ仮想化は仮想化されたPC環境をサーバに集約するものではなく、「リモートデスクトップ」などの機能を用いて社内のPCを社外からリモートで操作する「One To One型のデスクトップ仮想化」を指している点に注意する必要がある。

全体のPC台数はそれほど多くないが、一部の拠点PCを効率的に管理・運用したいと考える中堅・中小企業にとって、「サーバ集約型のデスクトップ仮想化」は導入負担が大きい。そのため、「One To One型のデスクトップ仮想化」が求められることになる。

同社は、デスクトップ仮想化の訴求を検討する販社・SIerとしては、中堅・中小企業に向けたファーストステップとして「One To One型のデスクトップ仮想化」も提案の選択肢に加えておくことが望ましいと分析している。