東京大学(東大)の超小型衛星「ほどよし3号」「ほどよし4号」が、ロシアのドニエプルロケットでロシア・ヤスネ基地から6月19日(日本時間20日)に打ち上げられた。打ち上げと初期運用は順調に進み、ほどよし4号が撮った最初の広角カメラ画像がダウンリンクされた。そのビデオ映像がFacebookとYouTubeに公開された。東大大学院工学系研究科の中須賀真一(なかすか しんいち)教授らが内閣府最先端研究開発支援プログラム(FIRST)で開発した衛星で、従来の宇宙開発の枠を破る試みとして注目される。
ほどよし3号、4号はいずれも重さ60kg程度、1辺0.5~0.8mの直方体で、南北に回る高度約630kmの地球周回軌道に乗った。共通のバス(衛星の基本部分)を持ち、3号が分解能40mと200m、4号が分解能6mの光学カメラを使って地球を撮影する。また、地上の送信機付きセンサーからの情報を電波で集める「ストア&フォワード」や、10cm立方の空間をユーザーに貸し出して自由なミッションを行わせる「搭載機器スペース」も設けており、超小型衛星が広範な宇宙利用に使えることの実証を主な目的にしている。
写真2. ドニエプルロケットで打ち上げられて地球周回軌道に乗ったほどよし3号(左端)とほどよし4号(右端) |
ほどよし4号では、開発した高速Xバンド通信機とイオンエンジンも実証する。異なる能力を持った2機の衛星の連携運用(ヘテロ編隊飛行)の実験も予定するなど、小さいながら、盛りたくさんの意欲的な実験を予定している。
今回は、ほどよし衛星の2機を含み、カザフスタン、スペイン、サウジアラビアなど17カ国の衛星33機がヤスネ基地のサイロ(地下発射装置)から打ち上げられた。1回の打ち上げとしては史上最多となり、超小型衛星時代の幕開けを告げた。
それほど高度な機器でなくても「ほどほどでよい」という意味から名付けられた、ほどよし衛星は、1機当たりの開発コストを3億円以下、開発期間2年未満という画期的な超小型衛星。東大のチームは、新しい宇宙利用のパラダイムの構築を目指して、ほどよし衛星4機を製造した。今回がこの4機のなかで最初の打ち上げで、中須賀教授は「衛星利用のしきいを下げる重要な一歩」と指摘している。撮影した画像は随時公開していく。
関連記事 |