日本IBMは6月25日、モバイル・コンテンツ管理(MCM)、モバイル・デバイス管理(MDM)、モバイル・アプリ管理(MAM)などの機能を持つモバイル管理ソリューション「IBM MaaS360」の提供を開始すると発表した。

MaaS360は、米IBMが2013年に買収したFiberlink Communicationsの製品。海外ではSaaS版はすでに提供されており、日本IBMでは今回、SaaS版とともに、自社運用およびサービス提供を行うプロバイダ向けにオンプレミス版も国内提供する。

参考価格は、SaaS版が1ユーザー・1モバイル端末あたり月額100円(税別)より、オンプレミス版が1モバイル端末・年額1,000円(税別)から。すべての機能を利用する場合は、SaaS版が1ユーザー・1モバイル端末あたり月額800円(税別)程度、オンプレミス版が1モバイル端末・年額8,000円(税別)程度だという。

SaaS版とオンプレミス版の2つを提供

BYODに対応するセキュリティ対策として、端末内にセキュア・コンテナという、会社業務用アプリ専用のデータ領域が設けられ、ネイティブアプリと異なる環境でアプリが実行される。セキュア・コンテナ向けには、メール、ブラウザ、ドキュメント共有などの機能が提供され、企業の独自の業務アプリもセキュア・コンテナ内で実行できる。

セキュア・コンテナ

日本IBM ソフトウェア事業本部 Cloud & Smarter Infrastructure事業部長 林健一郎氏

日本IBM ソフトウェア事業本部 Cloud & Smarter Infrastructure事業部長 林健一郎氏は「これまでは、MDM、MCM、MAMの3つが個別に導入されてきたが、今後は全体を統括するシステムが必要になる。IBM MaaS360は、これらが統合されたエンタープライズ・モビリティー管理(EMM)製品で、すでにある企業システムとの連携ができる点が大きなアドバンテージだ」と述べた。

「IBM MaaS360」は、次の機能を実装しており、顧客はシステム環境に合わせて選択するこが可能。

「MaaS360 Mobile Device Management」
中核となる モビリティ・デバイス管理(MDM)機能で、デバイスの登録、構成、セキュリティー・ポリシーの管理、および、メッセージ送信・検索・ロック・ワイプなどの端末操作が含まれている。MDMの拡張機能として、コンプライアンス・ルールの自動化、BYODのプライバシー設定、ダッシュボードとレポート作成機能を提供する。

端末の登録や端末紛失時のリモートワイプやロックは、セルフポータルが用意され、管理者が行うことなく、ユーザー自身が自分で行える。

「MaaS360 Mobile Email Management」
Microsoft Exchange ActiveSyncおよびLotus Travelerのプロトコルを利用している環境を管理する。それぞれの製品で個別に提供されるデバイス管理機能を「IBM MaaS360」から一元的に管理する機能を提供する。

「MaaS360 Mobile Application Management」」
アプリケーションの追加、削除、アップデート等を行うアプリケーション管理機能を提供する。カタログとしてアプリケーションを管理し、「IBM MaaS360」が管理するサポート対象デバイス上のアプリケーションを管理する機能を提供する。

「MaaS360 Mobile Application Security」
開発時にソフトウェア・ディベロップメント・キットであるWorkPlace SDKを使用するエンタープライズ・アプリケーションや、アプリケーション (.ipa) 、プロビジョニング・プロファイル、署名証明書をアップロードして自動的に組み込む iOSアプリケーション向けに追加のデータ保護機能を提供する。

「MaaS360 Mobile Content Management」」
管理者が「IBM MaaS360」上のコンテンツ・ストアにおいて、文書を管理する機能を提供する。管理された文章は、「MaaS360 Mobile Device Management」が管理するサポート対象デバイスに対して、配布期限設定による削除等の管理機能が提供する。

「MaaS360 Secure Document Sync」」
管理対象モバイル・デバイスにおいて、「IBM MaaS360」の管理下にある文章のコピーや貼り付けに加え、他のアプリケーションでの利用制限等のセキュリティ機能を提供する。

「MaaS360 Mobile Expense Management」」
ネットワークおよびローミングでのデータ利用の両方について、管理者がデータ利用ポリシーを作成し、それらを「IBM MaaS360」が管理するサポート対象デバイスに割り当てる。デバイス、グループ、またはグローバルの3段階レベルでポリシーを割り当て、注意や警戒を通知するアラートのしきい値とメッセージを構成できる機能を提供する。

「MaaS360 Secure Browser」」
Webサイトのフィルタリングやセキュリティ・ポリシーを定義し、ソーシャル・ネットワーキング・サイト、アダルト・サイト、マルウェア・サイトなどのさまざまなコンテンツ・カテゴリーに基づき、承認されたWebコンテンツにのみユーザーがアクセスするように徹底することで、企業のイントラネット・サイトへの安全なアクセスを実現し、コンテンツ・ポリシーのコンプライアンスを確保する機能を備えたWebブラウザ機能を提供する。

「MaaS360 Secure Mail」」
ユーザーがセキュリティ機能で管理されたメール、カレンダー、連絡先情報をモバイル端末上で利用できる機能を提供する。

「MaaS360 Mobile Enterprise Gateway for Secure Browser」」
VPN 接続を必要とせずに、承認された社内 Webサイトにサポート対象デバイスがアクセスできる機能を提供する。

「MaaS360 Mobile Enterprise Gateway for Docs」」
VPN接続を必要とせずに、社内のMicrosoft SharePoint およびWindowsファイル共有、その他のファイル・ストアに企業ネットワーク外のユーザーがセキュリティで保護され、違和感なくアクセスできる機能を提供する。

「MaaS360 Mobile Enterprise Gateway for Apps」」
VPN接続を必要とせずに、社内のアプリケーション・リソースに企業ネットワーク外のユーザーがセキュリティーで保護され、違和感なくアクセスできる機能を提供する。

MaaS360の主要機能

管理対象の端末は、iOS(4以降)、Android(2.2以降)、Kindle Fire、Samsung、BlackBerry、Windows Phone、Exchange ActiveSync、Lotus Travelerのほか、先日発表されたAmazonのFire Phoneにも対応するという。