三菱日立パワーシステムズと日本特殊陶業は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の発電要素である円筒セルスタックの量産に向けて、業務提携することで基本合意したと発表した。

今回の提携により、三菱日立パワーシステムズの円筒セルスタックの開発・設計・製造技術と、日本特殊陶業のセラミックスの量産技術を融合させることで、価格競争力のある円筒セルスタックの量産体制の構築を目指す。今後、円筒セルスタックの少量生産体制を構築し、これをベースに本格的な量産のための生産技術を共同で確立して、2018年4月までに年産数十万本規模の円筒セルスタック量産ラインを構築する計画。

今回対象となるSOFCは、900℃レベルの高温で作動するセラミック製の燃料電池である。都市ガスを改質して取り出す水素および一酸化炭素と、酸素を反応させることで高効率に発電できる。また、SOFCから排出される未反応燃料をマイクロガスタービン(MGT)による発電に使うことで省エネ・高効率を実現する。さらに、MGTからの高温排気を、温水・蒸気といった熱供給に利用することで、コージェネレーション(熱電併給)も可能であるとしている。

三菱日立パワーシステムズの円筒セルスタックは、セラミックスをベースとした基体管の外表面に、発電反応を行う素子(燃料極、電解質、空気極の積層体)を複数形成し、インターコネクタで素子間を直列に接続した構造(円筒横縞形セルスタック)になっている。燃料電池のさらなる普及に向けては、この量産化と低コスト化が大きな課題となっている。今回の提携は、このような課題克服を目指すものであるとコメントしている。

円筒セルスタック

円筒セルスタックの構造