産業技術総合研究所(産総研)は5月12日、透明状態での可視光透過率が70%を超える調光ミラーを開発したと発表した。

同成果は、同所 サステナブルマテリアル研究部門 環境応答機能薄膜研究グループの山田保誠主任研究員らによるもの。

今回開発した調光ミラーは、繰り返し耐久性の高いマグネシウム・イットリウム系合金を用いた調光ミラーの表面に適切な反射防止層をコーティングすることで、透明状態での可視光透過率を70%以上に向上させた。これにより、道路運送車両の保安基準上、自動車のフロントガラスに要求されている透過率の条件を満たせるので、開発した調光ミラーを自動車内空間の温熱制御のために窓ガラスへ応用できる可能性を示すことができたとしている。

同技術による調光ミラーを窓ガラスとして利用する場合、太陽光に対する耐候性の評価が必須となる。今後は暴露実験を行い、近い将来、調光ミラーガラス窓を実用化し、オフィスビルや自動車の窓材に用いて冷暖房負荷を大幅に低減できるよう、研究開発を進めていくとコメントしている。

透明基板側から見た透明状態での可視光透過率が70%の今回開発した調光ミラー(左:鏡状態、右:透明状態)