情報通信研究機構(NICT)は5月12日、超高速インターネット衛星「きずな(WINDS)」を用いて、打ち上げ時の伝送速度622Mbpsの約5倍となる3.2Gbpsの広帯域伝送を実現し、実際に4Kの映像の非圧縮伝送に成功したと発表した。
今回の研究は、「きずな」が従来用いてきた単一搬送波方式では広帯域化の実現には限界があることを受けて、新しい通信方式の開発を目指して行われたもの。
具体的には、「きずな」搭載中継器の1.1GHz伝送帯域内に16波の16APSK多値変調信号を、周波数多重化(16APSK-OFDM)し、RF信号ダイレクト変復調方式を採用することで、信号誤り率(ビットエラーレート)を向上し、測定結果として6.12×10-3を達成。また、これにLDPC誤り訂正機能を加えることで、準エラーフリー(BER1.0×10-11以下)を実現することで、3.2Gbpsの衛星伝送を実現したとする。
さらに今回の研究では、NICTが研究開発した「マルチチャネル映像伝送コーデック」を使い、「きずな」のIP衛星伝送プロトコルを組み込むことで、4K映像の非圧縮伝送にも成功したという。
今回、3.2Gbpsの高速伝送が可能になったことで、遠隔医療への活用や4K圧縮映像の30チャネル程度の同時伝送などの実現が期待できるようになるとしており、今後は、周波数資源の有効利用を進めることを目指して、同一周波数帯域を使った広帯域伝送の実現に向けた検討を進めて行くとしている。