米Appleが「micro LED (mLED)」技術のスタートアップ企業を買収したと話題になっている。TechCrunchが5月2日(現地時間)に報じたところによれば、この企業は米カリフォルニア州サンタクララを拠点としたLuxVue Technologyという2009年に設立された企業。mLEDについては、まだ非常にマイナーな存在だが、有機EL (OLED)のような自発光タイプの画像素子で、その特徴はOLEDと比較しても省電力で高輝度という点にある。

LuxVueは非常に小規模な技術開発企業であり、自社のWebページさえ持っていないほど。同社に出資しているベンチャーキャピタルのKleiner Perkins Caufield & Byers (KPCB)のページ上に、わずかに「Acquired」の記載があり、同社がAppleに買収されたとわかる痕跡が残っている程度だ。だがTechCrunchの記事中にもあるように、Apple広報からのコメントは「Appleは必要に応じて小さな企業を買収しており、その目的や計画については回答しない」というのみで、否定も肯定もしていない。

問題はその目的だが、KPCBパートナーのJohn Doerr氏が昨年開催されたDisrupt SFというイベントの中でLuxVueの技術について、「ディスプレイにおける技術的ブレイクスルー」と評しており、さらにmLEDに関するいくつかの技術特許も申請済みとされている。自発光タイプのディスプレイ技術ということで、用途的にはOLEDのそれと非常に似通っており、例えば小型のガジェットやサイネージ、そしていま話題のウェアラブル系デバイスでの利用が見込まれている。例えば昨年2013年末のVentureBeatの記事では、次期Google GlassでmLED系の技術が採用される噂を紹介しており、噂の「iWatch」も含めてウェアラブルでのディスプレイ技術がボトルネックになるといわれるなか、Appleがこの高輝度で省電力な技術に着目した可能性はある。