京セラは5月7日、都内で同社が4月28日に発表した決算の内容についての説明会を開催し、ソーラーエネルギー事業が業績に貢献したことや、次年度の携帯通信端末向け部品事業の拡大を目指すことなどを明らかにした。

同社の2014年3月期の業績は、売上高が前年度比13.1%増となる1兆4473億6900万円、営業利益が同56.8%増の1205億8200万円、純利益が同44.3%増の1462億6800万円となり過去最高の売上高を更新したほか、税引き前利益率も2011年3月期以来の2桁(10.1%)を達成した。

京セラの2014年3月期の決算概要

事業セグメント別の売上高を見ると、ファインセラミック部品や半導体部品などの部品事業が8250億2800万円、携帯電話やプリンタなどの機器事業が4945億9700万円となり、ファインセラミック応用品関連事業に当てはまる太陽電池ビジネス(ソーラーエネルギー)が産業分野での伸長のほか、住宅向けも堅調で同事業の売上高は前年同期比29.0%増の2727億9500万円となり、利益も同86.9%増となる335億100万円と、同社の売り上げ拡大に寄与したことが強調された。

2014年3月期における各事業の売上高と利益の概要。業績が伸びた要因の1つに太陽光発電ビジネスの成長があるという

一方、次年度となる2015年3月期の業績予想としては、売上高が同9.2%増の1兆5800億円、営業利益が同12.0%増の1350億円、純利益が同8.0%増の1580億円としているほか、設備投資費が640億円、研究開発費を540億円としている。

特に半導体部品関連事業、ファインセラミック応用品関連事業、情報機器関連事業などが牽引していくとするほか、携帯通信端末のグローバルでの出荷台数の増加に合わせて、小型薄型の有機パッケージ/FCCSPを前年度比163%増の売り上げ増を見込んでおり、その需要増に対応するために、2014年夏に京都府に建設を進めている有機パッケージの新工場を稼働させる計画であるとした。

世界的なスマートフォンの市場拡大に合わせて部品の需要も拡大が見込まれる

また、同社の高耐久スマートフォン「トルク」についても、欧州や中国での展開を検討していくほか、東南アジアでの新規顧客の開拓などを進めることで、通信機器全体で出荷台数1400万台を目指すとした。

高耐久スマートフォン「トルク」はSIMフリー端末として国内での提供も開始している

さらに、長期的に安定したビジネスが見込める自動車分野に対しても、2017年3月期に独自のセラミックス技術を活用した自動車関連市場向け部品を中心に3000億円の売り上げを目指すとしており、グループの総合力を発揮することで、ティア1などでの新規採用に向けた取り組みを加速させていくとする。

自動車のエレクトロニクス化は燃費向上や安全・安心といったニーズから今後も進んでいくことが見込まれ、同社としても重要な市場とする

京セラの代表取締役社長である山口悟郎氏

このほか、太陽光発電システムの需要拡大から、太陽電池の生産能力も前年度の1.2GWから1.4GWまで拡大するほか、エネルギーマネジメント分野へのシステムを含めた独自のホームエネルギーマネジメントシステムの販売拡張を目指すとしている。

なお、同社の代表取締役社長である山口悟郎氏は「近い将来、売り上げ2兆円を実現するための足掛かりの年にしたい」と話しており、京セラグループの総合力を発揮することで、素材・部品からデバイス・機器、そしてシステム・サービスへと事業間の連携の強化を図り、新製品の開発力の強化やシェアアップを実現していきたいとした。