住友化学は4月25日、大江工場(愛媛県新居浜市)のリチウムイオン2次電池用セパレータ「ペルヴィオ」の生産能力を、2014年春から現状比で約1.7倍、同年秋には同1.9倍へと順次引き上げ、2015年春までに従来比約2.3倍に増強すると発表した。

同社は、長年培ってきた高分子重合技術、無機材料技術、ポリマー成形加工技術を生かし、リチウムイオン2次電池の主要部材の1つであるセパレータ事業を展開している。「ペルヴィオ」は、アラミド樹脂やセラミックスで形成した耐熱層とポリオレフィン基材との組み合わせによる、電池の安全性向上に寄与するセパレータで、電気自動車(EV)やノートパソコン、スマートフォンなどに用いられるリチウムイオン2次電池向けに幅広く使用されている。

現在、リチウムイオン2次電池は、高容量化の流れにあると同時に、安全性確保がテーマとなっている。「ペルヴィオ」は、その課題の解決につながる製品で、高容量・高エネルギー密度を有するパナソニックの円筒型リチウムイオン2次電池への採用を通じて、米Tesla Motors社の高級EVセダン「モデル S」にも搭載されている。「モデル S」は、環境意識の高まりから、北米や欧州で販売台数が急速に拡大しており、今春より、日本を含むアジアでも納車が開始される予定。住友化学は、2006年にセパレータの生産を開始し、これまでも段階的に大江工場の生産能力を増強してきたが、こうした需要動向を背景として、さらに能力を拡大することにしたとしている。