鉄道・運輸機構およびJR九州は19日、軌間可変電車(フリーゲージトレイン)新試験車両のプレス公開を行った。20日からフリーゲージトレインの走行試験も開始される。
軌間可変電車(フリーゲージトレイン)は、異なる軌間でも直通運転できるように車輪の間隔を自動的に変換する電車。新幹線(標準軌1,435mm)・在来線(狭軌1,067mm)の乗換えが不要となることで利便性が向上し、在来線の軌間を変更することなく、既存の施設を有効活用できる。
九州においては2012年6月、国土交通省がフリーゲージトレインの導入を前提に九州新幹線長崎ルート(武雄温泉~長崎間。在来線の新鳥栖~武雄温泉間で軌間変換)の工事実施計画を認可しており、同ルートへの導入をめざし、技術開発が進められたという。
このほど公開された車両は、「FGT-9001」(1号車)・「FGT-9002」(2号車)・「FGT-9003」(3号車)・「FGT-9004」(4号車)の4両編成で、製造メーカーは1・3・4号車が川崎重工、2号車が日立製作所。外観は、「ディープレッド」「シャンパンゴールド」の2色でまとめられている。先頭車はなめらかな流線形のフォルムで、側面に「FGT」のロゴが入った。車内も赤を基調とした内装に。
新幹線区間だけでなく在来線区間も走行することから、車体幅2.945m、車体高3.65m、車両全長23.075m(1・4号車)・20.500m(2・3号車)となった。目標最高速度は新幹線区間が時速270km、在来線区間が時速130km。動力性能・ブレーキ性能は、新幹線区間で九州新幹線800系相当、在来線区間で885系相当とされている。4両とも電動車だが、主電動機の小型軽量化、基礎ブレーキ装置の軽量化、さらに先頭車の一部にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を使用するなど軽量化が図られ、車両重量(設計最大荷重)は各車最大46トンとなった。
今後は同車両による「3モード耐久走行試験」(新幹線・在来線・軌間変換)が実施され、耐久性最終評価を経て量産車設計・製作が行われる予定。4月20日からの試験で九州新幹線熊本~新八代間を走行した後、5月中旬からは鹿児島本線熊本~八代間を走行する(ともに走行時間帯は深夜0~5時頃)。在来線での走行試験では、かつて特急「リレーつばめ」が走った新八代駅付近の接続線も活用され、在来線との合流部付近に軌間変換装置も設置されるという。