神戸製鋼所は4月17日、軟鋼用フラックス入りワイヤ「FAMILIARC MX-200F」を今月より販売開始した。造船分野における水平すみ肉溶接において、1回の溶接操作(1パス)で8mm程度の脚長が得られ、かつ、良好な溶接ビード形状を実現する。水平すみ肉溶接とは、直交する鋼板の角に溶接する三角形状の断面を持つ溶接方法のことだ。
従来の水平すみ肉溶接用ワイヤにおいて、1パスで8mm程度の脚長を確保するには、溶接条件が厳しく、高度な技能が必要となり、加えて、溶接ビード形状についても、アンダカットの発生などにより塗装性にも悪影響を及ぼしていた。このため、8mm程度の脚長と良好な溶接ビード形状を得るためには、2パスでの溶接が必要となり、作業効率面で課題となっている。
造船業界からの要望により本共同研究を開始したFAMILIARC MX-200Fは、溶接ビード形状と塗装膜厚との関連性の研究をもとに、水平すみ肉溶接のビード形状に影響を及ぼす溶融スラグの粘度と凝固温度の最適化を図ることで、1パスで8mm程度の大脚長溶接を可能とし、溶接作業効率と塗装性の向上が期待できる。