日立製作所と日立GEニュークリア・エナジー(日立GE)は、沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)向けに、大規模自然災害が発生した場合でも、ポンプなどを駆動する電源を用いることなく原子炉を長期間冷却し、放射性物質の環境への放出抑制を可能にする空冷技術を開発したと発表した。
これは、原子炉を空気で冷却するための空冷熱交換器を構成するステンレス製の伝熱管などの表面にミクロンオーダーの凹凸を生成し、凹凸部分に熱を密集させ、形成された高温の空気層を外気から取り入れる空気を流しいれることで、一気に取り除こうというもの。これにより、空気による除熱性能を約2倍に向上させることが可能になるという。
また、原子炉の冷却に必要な伝熱管の本数を約2分の1に減少できるようになるため、空冷熱交換器の体積を約2分の1に小型化することが可能となり、これまで設置が不可能だったスペースに対して空冷熱交換器を設置することが可能になるというメリットも生じるという。
さらに、原子炉格納容器上部に、建屋構造を活用して鉛直方向に延びる流路を形成し、その流路内に空冷熱交換器を設置し、崩壊熱を冷媒などにより空冷熱交換器に導き、空冷熱交換器の下部から取り入れた外気と熱交換して原子炉格納容器内の熱を除熱、熱交換された加熱外気を上部から排気する構成とすることで、空冷熱交換器で加熱された空気と、外気の温度差(密度差)を活用して、自然循環力により空気を流すことができるようになるとのことで、これにより、空気の自然循環を阻害せずに除熱性能を向上することができるようになるとしている。 今回開発した空冷技術について両社は、実機を模擬した管群試験で効果を検証した後、新規に建設する原子炉だけで無く、既設の原子炉の一部機器や他産業製品への適用も視野に活用していく予定だと説明している。
なお、同技術の詳細は、3月26日から28日まで、東京都市大学で開催される「日本原子力学会2014年春の年会」にて発表される予定だという。