古河電気工業(古河電工)は3月13日、光ファイバを使って電源を供給し、画像を伝送する光給電カメラを製品化したと発表した。2本の光ファイバを接続するだけで、画像を約10Km離れた遠隔地に伝送することができるという。

従来の画像伝送システムは、通信ケーブルの他に、システム構築時に電源設備や画像伝送のための伝送設備の設置が必要であり、災害時の停電や落雷、断線などによる影響を受ける恐れがあった。特に、自然災害発生時は、電力供給が限定されることが考えられ、簡易で信頼性の高いシステムが求められていた。

同社は、これまで光水位計、光浸水検知センサ、光雨量計といった各種光ファイバセンサの開発と製品化に取り組んできた。センシングシステムに光ファイバを活用する利点の1つに、フィールドに設置されるセンサと屋内の制御装置が電気的に絶縁されるという特性がある。今回の製品化にあたり、この点を活かしつつ、光ファイバを使って75mWの電源を供給すると同時に、遠隔地に画像を低損失で伝送するシステムを開発したという。

光給電カメラは、給電用と映像伝送用の2本の光ファイバを繋ぐだけで、遠隔地にあるセンター装置に画像を送ることが可能。使用する光ファイバは、一般的に通信に使用しているSM型光ファイバで、給電用に1480nm、画像伝送用に1310nmの波長の光を使用しており、10Km離れた場所から伝送損失3dBという低損失での画像伝送を実現した。また、今回のシステムは、電源設備や伝送設備を設置する必要がなく、簡単に設置できる。災害時に発生する停電や大雨時の落雷などの影響を受けにくいので防災用カメラとして活用できる。

今後は、防災活動に積極的に取り組んでいる地方公共団体などを中心に提案していく。将来的には産業用途として、低損失化、長距離化をさらに推し進めた製品を開発していく計画。古河電工では、同製品の2015年度までの売上目標を1億円としている。

製品化された光給電カメラ

システム構成図