発表会中に同端末で作った絵本コンテンツを披露したイラストレーター/モデルの嘉山楓氏

ユビキタスエンターテインメントは14日、手書きに特化したタブレット端末「enchantMOON(エンチャントムーン)」の改良版端末「enchantMOON S-II」の発売と、OS「MOONPhase」の大幅アップデートを発表した。「enchantMOON S-II」の発売は4月を予定。価格は16GBモデルが4万9,800円、32GBモデルが5万9,800円。

今回発表された改良版端末「enchantMOON S-II」は、ハードウェアのスペックに関して初代「enchantMOON」とまったく同一の物を採用。プリインストールされているOSが大幅にアップデートされた新バージョンとなっており、処理速度が大幅に向上しているという。 同社の清水亮代表取締役は、この発表に至るまで、CPUの変更や筐体デザインの変更などハード面の変更を検討したと語った。しかし、既存ユーザーへのアンケートを実施したところ、「現状の筐体デザインのまま、もっと動作を早くしてほしい」という声が多く寄せられたこと、CPU自体の性能に関わらず動作の遅延は解消可能と判断したことから、今回のような発売形式を取ったと明かした。

「enchantMOON S-II」

新端末(OS)の改善点

「enchantMOON S-II」は、OSの開発費などのために既存の端末より1万円ずつ値上がりする。清水氏が「買うなら今」とコメントする場面も

これまでのOS(コードネーム「Columbia」)では、すべてのデータにおいてベクター形式で手書きデータを保持していたが、それによってページ切り替えなどの各種動作の遅延を解消するため、新OSではデータ形式をラスター形式に変更。ソースコードを一から書き直すレベルでの大幅変更を行い、処理速度を高めることに成功した。新OSについて、既存の同端末ユーザーには無料で配布される。

他社端末で使用されているメモリとレイテンシの一覧

旧来のOS「Columbia」で行われていたデータ処理

ハード面は前世代の端末とまったく同一

アーキテクチャの改良点

また、発表会終盤、同端末の描画性能をプレゼンテーションするため、イラストレーター/モデルの嘉山楓氏が登場。すべて同端末を用いて制作した絵本風のコンテンツを披露した。フジテレビ系「笑っていいとも!」の似顔絵コンテストでグランプリ受賞経験のある画力の持ち主である嘉山氏は、同端末の筆圧感知の精度が高いため描き心地がよく、紙と鉛筆同様に扱えたとコメントしていた。

「enchantMOON S-II」で作った絵本コンテンツを披露する嘉山氏

そのほか、同端末で作成したコンテンツをスマートフォンやPCでも閲覧可能にするHTML5べースのエミュレーター「Gemini」や、専用クラウドストレージ「Skylab」の開発についても併せて発表された。なお、今後の展開として、さらなるOSアップデートを行う「enchantMOON S-IVB」を2014年内に、ハードウェアを根本的に見直した「enchantMOON MkII」を2015年に発表予定とのこと。

HTML5べースのエミュレーター「Gemini」

同端末の専用クラウドストレージ「Skylab」