太陽の8倍以上もある大質量星の誕生間もない姿を、国立天文台の廣田朋也(ひろた ともや)助教らが電波望遠鏡のアルマ望遠鏡(チリ)とVERA(ベラ)望遠鏡(国内4台からなる超長基線電波干渉計)などで観測し、大質量星周辺に高温水蒸気ガスの回転円盤を発見した。大質量星がどのように誕生するかは論争が続いていたが、太陽のような中小質量星と同様に、回転ガス円盤を通して物質が集まって誕生することがはっきりわかったという。

図. オリオンKL電波源Iの想像図、中心に生まれたての星があり、垂直方向の上下に一酸化ケイ素の高速ガスが噴き出している
(提供:国立天文台)

廣田さんらが観測したのは約1400光年離れたオリオンKL電波源I(アイ)。オリオン大星雲にある生まれたての大質量星だ。世界最大の電波望遠鏡のアルマ望遠鏡で観測して、電波源Iの周辺にある約3000度の高温水蒸気ガスが発する電波を高解像度で撮影した。これまで行われたVERA望遠鏡などによる観測と合わせて、この高温の水蒸気ガスが回転円盤であることを確かめた。回転円盤は太陽系と同じくらいの大きさで、直径は地球と太陽の距離の約80倍だった。

廣田さんは「大質量星は数が少なく、遠方にあるので、研究が遅れていた。アルマ望遠鏡で、誕生直後の様子が観測できるようになった。大質量星の惑星系が、われわれの太陽系とどのように違うなどを今後詳しく調べ、星の進化の謎に迫りたい」と話している。