1972年~73年にテレビ朝日系で放送された特撮TVドラマ『人造人間キカイダー』がリメイクを果たし、『キカイダー REBOOT』として5月24日に劇場公開されることが30日、明らかになった。
『人造人間キカイダー』は、石ノ森章太郎氏原作による特撮TVドラマで、1972年~73年にテレビ朝日系で放送。光明寺博士によって作られた人造人間キカイダー=ジローを主人公に、悪の科学者プロフェッサーギルが率いる"死の商人"の組織「ダーク」との戦いが描かれている。左右非対称で内部構造が見える奇抜なデザイン、不完全な人造人間という良心回路、善悪の間で揺れ動く不完全なヒーロー像――さまざまな要素が絡み合い、石ノ森氏の漫画版とともに人気を博し、当時は同じく石ノ森氏原作の『仮面ライダー』と人気を二分するほどだった。
30日に行われた「東映のラインナップ発表会」では、東映の白倉伸一郎プロデューサーが登壇し、「これがある種の東映の源流といっても過言ではない。ライダーでも戦隊でもなく、キカイダーこそが源流」と、『キカイダー』が東映特撮のルーツ的な立ち位置であることを説明。今でこそ「仮面ライダー」「スーパー戦隊」は東映の看板作品だが、「テレビ朝日さんにとって初めてのヒーローものであり、東映の大泉撮影所にとっても初めてのキャラクターものがキカイダーだった」と、源流の理由を明かした。
そうした背景がありながらも、これまでリメイクされずにいた本作。白倉プロデューサーは「数年前の『仮面ライダーW』は、『キカイダー』のイメージ、あるいはオマージュさせていただいたものもありました」と例を挙げ、これまで『キカイダー』にインスパイアされた作品、スピンオフ作品はありながらも「ストレートに『キカイダー』そのものリメイクし、映像化することは40年近くできなかった」と話している。
これには、原作の石ノ森氏が描いた世界観が深く関係しており、白倉プロデューサーは「内容がすごく難しい。お話が難しいわけではない。当然ヒーローものなので、悪い奴らに対してヒーローが立ち向かうというお話なんですが、石ノ森章太郎先生の掲げたテーマが非常に深い」とリメイクの困難さを語る。そして「東映だけの力ではなく、KADOKAWAの井上専務という大変キカイダー愛の深い方がおりまして、その旗のもとに東映が重い腰をあげました」とリメイク実現の経緯を語りながら「全力をあげて真正面から、ある種封印されてきた、禁じられた扉を開きます。ライダーとも戦隊とも違う、第三の、そして"本来のヒーローはここにあり"というつもりでやっていきます」と決意を表明した。
「脚本だけで2年かかった」と白倉プロデューサーが明かし、ついにリメイクが実現した本作は、原作の育んだ世界観を守りながらメインテーマに"愛"を掲げている。舞台は未来の日本で、人間では抗えない問題をロボットに解決させる「ARKプロジェクト」の中枢、世界的ロボット工学の権威・光明寺ノブヒコが、実験中に謎の事故死――暴走する「ARKプロジェクト」に、光明寺が残した主人公ジロー/キカイダーが戦いを挑んでいく。身近に感じられるストーリーを展開しつつも、幅広いエンタテインメントを追求するKADOKAWAと、長く"ヒーロー"という存在を世に問い続けた東映がタッグを組み、コアなファンをも魅了する全く新しい『キカイダー』が描かれるという。
機械でありながら心を持つ主人公ジロー/キカイダーを演じるのは、ドラマ『絶対彼氏』や『理想の息子』などへの出演で知られる俳優の入江甚儀。そして、ジローと触れ合う中で愛を知っていくヒロインのミツコ役は佐津川愛美が演じる。そのほか長嶋一茂、本田博太郎、原田龍二といったベテラン勢が脇を固め、監督には『SHINOBI』『Blood』などの下山天監督、脚本は下山健人が務める。映画『キカイダー REBOOT』は5月24日全国公開。
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