セキュリティ・ベンダーのファイア・アイは1月15日、中堅・小規模企業向け仮想マシンベースの標的型攻撃対策製品「NX900」を発表した。同日より提供開始する。同社が中堅・小規模企業向け製品を提供するのは、今回が初めてとなる。

2013年8月よりファイア・アイ日本法人のカントリーマネージャーを務める茂木正之氏

また同社は、従来の製品名称を改めると発表。今回の「NXシリーズ」は、「Web MPSシリーズ」の後継となる。

製品名称の変更理由について、ファイア・アイでシニアシステムズエンジニアを務める小澤嘉尚氏は、「従来製品を機能拡張し、『FireEye』ブランドに製品を集中させることが目的。同時に市場の“誤解”も解きたい。今まで単一機能を製品名としてきたが、市場では単体機能の製品だと思われていた。例えば、Web MPSはWeb通信以外のマルチプロトコルのコールバックに対応しているが、製品名からそれが伝わらない。こうした誤解を回避し、正しいメッセージを伝えていきたい」と説明した。

今回の製品名称の変更で、「Web MPS」は「NXシリーズ」、「Email MPS」は「EXシリーズ」、「File MPS」は「FXシリーズ」、「CMS」は「CMシリーズ」、「MAS」は「AXシリーズ」となる。

「NX900」は、独自の仮想マシン上でコンテンツを解析し、ポリシーやシグネチャ・ベースの対策では検知できなかったゼロディ攻撃や標的型攻撃を検知して遮断する。

インストールは30分以内に完了し、導入以前から存在していたマルウェアの検出も可能。導入後はファイア・アイのアーキテクチャ全体と統合され、情報共有が可能。さまざまな経路からの攻撃から、自社のシステムを保護できるのが特徴だ。

ファイア・アイでカントリーマネージャーを務める茂木正之氏は、「経済産業省によると、日本の中堅・小規模企業数は600万社以上。その多くがネットワーク経由で日々の業務をやり取りしている。多くのお客様は、自社のシステムを守ることはもちろんだが、『自分たちが(標的型攻撃の)踏み台になって取引先に被害を与えたら困る』という危機感がある」と指摘。「セキュリティ対策が脆弱で、標的型攻撃のターゲットにされやすい中堅・小規模企業や、大規模企業の海外拠点や工場など、企業ネットワークの“死角”になるような環境でも、最先端のセキュリティを配備できる」とその優位性を強調した。

「NX900」の価格は本体のみで159万9,000円(税別)より。NXシリーズの最上位は「NX10000」だが、「パフォーマンスとネットワーク規模環境の違いで、搭載機能に差異はない」(小澤氏)とのことだ。

「NX900」。ちなみに最上位機種の「NX10000」は2013年9月12日米国で発表されている