東京大学(東大)は12月26日、同大駒場キャンパスで採集したカメムシが新種であることを確認したと発表した。

同成果は、同大大学院総合文化研究科の石川忠 特任研究員、同研究科の伊藤元己 教授、アメリカ自然史博物館の安永智秀 特別研究員らによるもの。詳細はオランダ昆虫学会誌「Tijdschrift voor Entomologie」に掲載された。

近年、生物多様性条約が締結されるなど、地球規模での生物の多様性を保持するための取り組みが進められているが、例えば日本における都市部では、元来の自然があまり残されていないにも関わらず、その生物相は完全に把握されているとは言えなかった。

そこで研究グループは今回、東京都・目黒区にある東大駒場キャンパスの生物相の解明に向けた研究の一環として、1年間にわたるキャンパス内のカメムシ類採集を行ったという。合計で114種類のカメムシ類の生息を確認したが、その過程において、初夏にアカメガシワの花に訪花していた昆虫を採集した試料の中から、採集された未知のカメムシ(カスミカメ類)を発見。

同カメムシの外部および内部形態の調査を行い、既知の近縁種と比較したところ、これまで報告されたことのない新種であることが判明したという。

新種であるため、名前がなかったことから、和名として「エドクロツヤチビカスミカメ」、学名としては、駒場キャンパスで得られたことにちなんで「Sejanus komabanus(セジャヌス・コマバヌス)」と命名された。

なお、現在のところ、この新種カメムシは駒場キャンパス以外での生息は確認されていないという。

発見された新種のカメムシ「エドクロツヤチビカスミカメ」