東京メトログループは、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた取組みの基本方針を策定し、その概要を公表した。従来から取り組んできた安全性とサービスの向上に加え、追求するべき要素として「楽しさ」を取り入れているのが特徴となる。
基本方針では、東京メトログループが果たすべき役割として、「東京の案内役」「鉄道ネットワークのつなぎ役」の2本の柱を設定。さらに、「世界トップレベルの地下鉄の安全を」「地下鉄をわかりやすく快適に」「地下鉄を使って東京を楽しく」の3つの視点を定め、それらの視点からグループの安全・サービスなどの総点検を行うとしている。
第1の視点である「世界トップレベルの地下鉄の安全を」にもとづき、点検を行うのは、地震や浸水などの自然災害への対策や、駅構内・車内のセキュリティ強化、転落事故等防止のためのホームドアの整備、旅客増を見越した運行計画による安定輸送の確保などの各項目。世界中から訪れるすべての利用者が安心して利用できる安全性と安定輸送をめざす。
第2の視点として掲げた「地下鉄をわかりやすく快適に」は、ユニバーサルデザインの観点から、すべての利用者にとって便利で快適な地下鉄を提供するとの意味があるという。駅構内などの標示や駅係員の対応などを点検し、ソフトとハードの両面から案内を強化するほか、段差の不便などのない明るく心地良い駅空間の創造、列車の運行時間や乗継などの利便性向上などに取り組む。
「地下鉄を使って東京を楽しく」という第3の視点には、「移動時間を楽しく過ごしていただくとともに沿線エリアの活性化にも貢献します」(東京メトロ)との決意を込めた。具体的には、タブレット端末の活用や駅・車内での情報提供のしくみを検討し、東京で楽しく過ごすためのタイムリーな情報提供の充実化を図る。加えて、車内ディスプレイの放映内容やインターネットなどの通信環境についての点検を行い、駅構内や車両のエンターテイメント空間化をめざす。沿線地域との連携による地域の魅力発信にも取り組むとしている。
東京メトロはこれらの視点にもとづいた総点検を実施するにあたり、「実地調査も通じ、さまざまな分野の方からご意見をいただきながら進めてまいります」と表明。点検結果と国や東京都の動きを踏まえ、2014年夏にはオリンピック・パラリンピックに向けた計画を取りまとめる予定だ。取りまとめ段階で具体化できた施策については、その前の時点から順次実施するとしている。